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写真集『浦安魚市場のこと』製作チームを取材してきました。若さと情熱と志にグッと来た!【クラウドファウンディング開催中/7月上旬発売予定】

3月に閉場した『浦安魚市場』。あなたにとって、魚市場はどのような存在でしたか? 「子どものころ、親に連れられて買い物に行った思い出深い場所」「年末の買い出しでよく行ってた」「あるのは知ってるけど、行ったことはない」「そもそも存在を知らなかった」…同じ浦安市民でも、返ってくる答えはきっと十人十色でしょう。

浦安魚市場の記録を残すため、写真集が製作されていることは先日の記事(浦安魚市場の写真を「暮らしの記録」として後世に残したい! 写真集『浦安魚市場のこと』製作プロジェクトが始動。【クラウドファンディング】)でもお伝えした通りです。20代の若者が中心となって製作しているこちらの写真集、このたびプロジェクトメンバーのお二人にお話を伺うことができました。写真集に込められたエピソードや想いを、たっぷり聞かせていただきました!

“生の情報”を残す

この写真集の企画を最初に立ち上げたのは、映画監督の歌川達人さん。北海道出身の歌川さんが、なぜ浦安の魚市場を題材にされたのでしょうか。

「浦安との最初の出会いは、三鷹市の小さな映画祭で泉銀の森田釣竿さん主演の映画『アナタの白子に戻り鰹』を観たときでした。上映後、森田さんが出てきて、いきなり魚を売り始めたんです。映画祭でそんなことする人はまずいないので(笑)限りなく異色で、司会の声が聞こえないくらい盛り上がって…とても刺激的でしたね。そこから関係者に話を聞く機会があって、浦安魚市場が閉場することを知りました。職業柄、映像や写真といった芸術・文化の分野が、どのように地域社会に貢献できるのかを考えているので、すごく興味を持って。そこから魚市場に足を運ぶようになりました」。

現在、魚市場の資料は、郷土資料館にもweb上にもまとまったものはありません。それぞれのお店や個人が、バラバラに持っているだけ。「個人で持っている方に写真をお借りしようと思っても、『うーん押入の奥のほうにはあると思うんだけど、すぐには出せないな~』と言われてしまったり、ネガの状態でしかなかったり…。このタイミングでちゃんと残さないと、なくなってしまうという危機感がありました。そこで今年の初めに『資料として価値のある、後世にきちんと残せる写真集にしよう』とプロジェクトを立ち上げたんです」。


サンプルで見せていただいた写真からは、当時の状況が生き生きと伝わってきます。ここで商いをし、日々の食卓を調え、暮らしをつくってきた大勢の人たちがいるという、紛れもない情報。「これらを単純化することなく雑多なまま出したい。魚市場を舞台に行われていた、人々の生活の営みを、読み手に想像してもらえるような写真集にしたいです」と歌川さんは言います。

たくさんの人を、巻き込んでつくる

写真集はB5判のフルカラー176ページと、かなりのボリューム。「写真は魚市場関係の方から提供いただくほか、浦安在住の写真家・野寺治孝さん、映画監督の今井真さん、そして私が撮影した写真で構成します。それから魚市場の全28店舗からいただいたメッセージ。手書きの方もいれば似顔絵つきの方、一言に気持ちを込めた方もいれば長文をしたためてくださった方もいました。来場したお客様に書いていただいたメッセージノートも掲載します。もう一つ、東京大学・浦安プロジェクトチームの研究成果。出店している皆様のインタビューを中心に、魚市場の歴史を図やイラストとともに掲載します。なるべくたくさんの人を巻き込むことも、この写真集の製作でやりたいことの一つです」。

右から、歌川さん・大塚さん・東大チームの皆さん

クラウドファウンディングという形式を採ったのも、「たくさんの人を巻き込みたい」という気持ちから。「クラウドファウンディングに対して良いイメージのない方、寄付に対して抵抗のある方もいるかもしれません。そうしたら、TwitterやFacebookでシェアしていただくだけでも、いいね!を付けていただくだけでも嬉しいです。少しずつ、このプロジェクトを知ってくださる方が増えていけばいいなと思っています」。

「人がどんどん集まってくるのが、このプロジェクトの面白いところだと感じています」と話すのは、浦安・元町出身の大塚さん。

魚市場には子どものころから年末やお客様が来るときなど買い出しに来ていて、身近な存在だったそう。魚市場や百縁商店街での写真展示で積極的に活動されています。「昨年末に魚市場内で写真展を行ったのですが、そのあたりからどんどん関わる人が増えていきました。お客様からのメッセージノートも、企画した当初はだれも書いてくれないんじゃないかと思って、数行サクラで書いたりもしたんですけど(笑)、気が付いたらたくさんのメッセージが集まっていました。子どもからお年寄りまで、多様な思いを綴ってくださいました」。

来場する方々にとって魚市場がどんな場所だったのか、ノートに書かれた一人ひとりの言葉の端々から感じられます。

一人ひとりが、街にどう関わっていくのか

たとえば街のシンボルである大好きな場所がなくなるとしたら、どうするか。ただ傍観するのか、「なくさないで」と声を上げるのか――魚市場の閉場をきっかけに、一人ひとりの街に対する姿勢にも、問いが生まれました。「北海道の小樽には、観光スポットにもなっている小樽運河があるんです。国内外から多くの観光客が訪れ、今では小樽の貴重な観光資源となった小樽運河。でも昔、様々な事情から埋め立て計画が立ち上がったそうです。その時に『運河をなくさないでくれ』という運動をした市民がいて、運河は今も残っている…という話を耳にしました。一人ひとりが街をつくっている、関わっているという意識を持つことって、とても大切なんじゃないかなと思うんです」と歌川さん。

「魚市場に関しては、市場の方々と話すうちに『なくなるのは淋しいから、続けてほしい』と簡単に言えないな、と感じました」と大塚さん。「こと商売については、他人は責任を持てない。浦安に限らず、勃興する産業があれば衰退する産業もあります。写真集プロジェクトでは、無理やりどうこうしようということではなくて、『魚市場が閉場する』というそのままを提示する。そこから一人ひとりが魚市場なり、自分の住む街なりに対して、考えを深めていくきっかけになればと思います」。

魚市場閉場、そしてこれから

海が埋め立てられ、漁師さんはほとんどいなくなり、そして魚市場も閉場…“漁師町・浦安”は、“東京までアクセスの良い街・浦安”へと、少しずつ塗り替えられています。「最近、テレビで浦安が取り上げられることが多かったのですが、その中で『浦安=東京のベッドタウン』という表現がされていて。浦安ってもともと漁師町だったのだけれど、ああ、もうどこにでもある『ベッドタウン』になってしまったのか…と思ったんです」。自分の住む街や育った町が、どんどん「ベッドタウン」になって個性が失われていく――それは浦安に限らず、日本各地で叫ばれている問題でもあります。


魚市場がなくなることをきっかけに、「浦安らしさ」「浦安のアイデンティティ」について考え始めたという大塚さん。「『魚市場』って何だろう、と考えたときに、漁師町であったころの名残であり、商売の場であり、日々の暮らしの台所であり、人と人との粋な交流の場であり…いろんな側面がある。そういうものが『なくなる』、そして『こうなる』という次の段階があるはずなんです。記録としての写真集は、その次の段階につなげる礎にもなる」。

実は、5/11・12に浦安駅前で開催された百縁商店街のイベントで、子どもたちの『魚市場スピリット』を感じさせる一幕がありました。「『こども商店街』に出店する男の子たちが、『マルナカさん(魚市場内に店舗を構えていたお肉屋さん)のコロッケを使って、コロッケパンを作って売りたい!』と言い出したんです。子どもたち自身がマルナカさんと交渉して、材料の調達から何から全て自分たちでやって…。それを傍で見ていて、魚市場のスピリットは子どもたちもしっかり受け取っていて、こうやって受け継がれていくんだなと感じました」。


百縁商店街当日、コロッケパンは飛ぶように売れていました! 「ポップを作ったから、昨日より売れるペースが速いです」と店長の男の子。サクッと軽いコロッケにふわふわのパンのコンビは、100円とは思えない美味しさ…!

子どもたちの手書きメッセージにホロっと来ます。

魚市場の写真展のブースは、畳敷きの休憩所が併設。
 
休みながらメッセージノートや写真の一部を見ることができました。チラシを受け取っていく方、座ってスタッフと話し込む方、展示をじっくり見ていく方…。

魚市場を知らない方、浦安市外に住んでいる方にも手に取ってほしい!

写真集『浦安魚市場のこと』は、7月発売予定クラウドファウンディングは6月上旬まで受け付けています。ご興味のある方はぜひ、クラウドファウンディングのサイトをご覧ください(私もささやかながら応援させてもらいました!)。7月以降は順次市内の店舗(鮮魚 泉銀味わい食堂 ひねもすのたりURAYASU markets猫実珈琲店  ※2019年5月13日時点)でも販売されるそうです。 


「外から見るからこそ感じることって、たくさんある。この写真集は魚市場を扱っていますけど、魚市場を知っている人たちが懐かしむためだけではなく、魚市場を知らない人や、浦安に住んでいない人たちにも読んでもらいたいです」と歌川さん。歌川さん自身、外からの目で浦安を見ているからこそ、この写真集の企画が生まれたのです。魚市場を舞台にした人々の暮らしの物語が詰め込まれている、写真集『浦安魚市場のこと』。一枚一枚の写真から息づかいを間近に感じ、その暮らしを想像してみてください。魚市場を知らなくても、浦安出身じゃなくても、きっと心に染み込む何かがあるはずです。この試みが一人でも多くの方に届きますよう、願いを込めて。

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