浦安ってこんな街!
2.182026
猫実でゆうゆうライフ

今回は浦安の中でも歴史深い、「猫実」を特集しました。 歴史ある街ということで、地元の方々が多い場所ですが、昔は意外にもお嫁さんとして移り住んできた方、開発により仕事で浦安に移り住んだ方、今ほどではありませんが、他県から移り住む方々が多かったことに驚きました。
お話を伺った方々の年齢はさまざま。話を伺う年代によって、ちょっとずつ風景が変わっていく様子など、時代の流れに思いを馳せることができました。 古くからの生活や文化を引き継いでいく覚悟を持つ一方で、新しい繋がりも生まれています。この街が好き、だからこそ新たなる挑戦をしていきたい—。そんな思いを持った人々が描くこれからの景色に、今からワクワクしてしまいました。
猫実はどんな街 ?(今)


浦安市猫実(ねこざね)は1丁目から5丁目まで広がる、人口約1万人の街です。65歳以上の人口割合は18.47%と、浦安市内では比較的若い世代の集う地域。都心へのアクセスの良さに加え、学校や行政施設が充実していることから、近年は単身者や若年層にも支持されています。まちの中枢でもある「浦安市役所」があるのも、ここ、猫実(猫実1丁目にあります)。2016年に分散していた庁舎を集約した新庁舎が完成。行政施設が整備され、単身世帯から子育て世代まで、安心して暮らせる環境が整いました。また、同時期に造られた「浦安公園」では市民向けイベントが多く開催されています。境川を舞台にした催しも頻繁に行われ、街と人との距離の近さを感じさせます。
そんな新しい一面も見せながら、やはり猫実は”歴史ある地域”。境川沿いに残るどこか懐かしい街並みからは、「古き良き時代の浦安」が今もそっと息づいているように感じられます。今もなお神社仏閣や老舗が点在し、新しい暮らしと長く続いてきた歩みが自然に重なり合う光景は、現在の猫実ならではの魅力です。
不動産の視点から見ても、猫実は魅力的な地域。区画整理済みのエリアでは防災面や接道問題の改善により資産価値が向上。特に浦安駅に近い4・5丁目は、利便性の高さからコロナ前より地価が上昇しています。一方、公共施設が集まる1〜3丁目では、事業者によるマンション開発が進み、子育て世代の流入が続いています。古くからの戸建てと新しい集合住宅が共生する新旧入り混じった街並み。エリアごとに多様な発展を遂げています。
名前の由来と古い歴史


猫実の歴史は古く、1157年(保元2年)にはすでに集落が存在していたとされています。現在の豊受神社の前身である「神明宮社」が創建されたのもこの頃。地元の人たちの中には、今でも親しみを込めて豊受神社のことを「神明様」と呼んでいる方がいらっしゃいます。(ベイシニア浦安「神明パーククラブ」の名前の由来も、当初、豊受神社内の社務所を借りてクラブを行っていたからなのだそう!)
「猫実」という地名には、自然と向き合ってきた人々の祈りが込められています。鎌倉時代、大津波によって甚大な被害を受けたこの地で、人々は堤防を築き、その上に松を植え、「この松の根を波が越さないように」と願いました。その想いから生まれた「根越さね」という言葉が、時を経て「猫実」と呼ばれるようになったと伝えられています。


江戸時代には初代・歌川広重の『名所江戸百景』の中で、「堀江ねこざね」として当時の猫実の風景が描かれています。豊受神社の鳥居も描かれており、この当時から神社があったのだな――と、思わずしみじみ…。べか舟を漕ぐ人の様子も描かれていて、猫実は人が息づき、人の営みがあった土地であったことを感じました。
豊受神社から南東へ歩くと、心地よい水の音と共に「左右天命(さゆうてんのみこと)辨財天」が現れます。古くから火災や津波の危機を知らせ、街を救ってきたと伝わる地域の守り神です。大正の大津波や東日本大震災で被災しても、その都度、地元の方々の寄付や支援で大切に再建されてきました。辨財天すぐ近くには、戦時中B―29が落とした爆弾で出来た「爆弾池」があったという逸話も。いつの時代も、人々の祈りと深い絆に守られ、静かに歴史を語り継いでいる場所です。
最もにぎわった ?昭和30年代の猫実


「昭和30年代が、一番活気があったんじゃないかな?」そんな声を、今も多くの住民から聞きます。当時の猫実、特に猫実4丁目の庚申通りは、街の中心ともいえる存在でした。庚申様を祀るこの通りには商店が立ち並び、砂利や貝殻を敷き詰めた道を、人や自転車が行き交うにぎやかな繁華街でした。境川周辺には人々が集い、現在の浦安小学校付近には、蓮田や田んぼが広がっていたといいます。現在のやなぎ通りは、かつて「十三間通り」と呼ばれていました。道幅が十三間(約23メートル)あったことが名前の由来ではないかとされています。都心へ向かうバスが通るたび、砂ぼこりが舞い上がり、辺り一面が白く煙った――そんな光景が日常だったそうです。
昭和30年代後半、猫実を含む浦安の風景は大きく変わり始めます。工場排水や生活排水による漁場汚染、昭和33年の本州製紙江戸川工場悪水放流事件、そして京葉工業地帯造成に伴う埋め立て事業。水揚げ量は年々減少し、漁業の将来に不安を抱いた人々は、やがて漁業権を手放す決断を迫られました。一方で、埋立事業とともに、日本各地から仕事を求めて多くの若者が浦安へ集まります。猫実にあった旅館は出稼ぎの人々で賑わい、15 歳という若さで東北からやって来た人もいたといいます。電気のない小屋でランプを灯し、満潮になると冠水する道を、途中の商店で長靴に履き替えてバス停へ向かう――「出勤するだけでも大変だったよ」と、当時を振り返る言葉には、苦労と記憶がにじみます。
猫実は、生まれ育った人だけの街ではありません。仕事や結婚をきっかけに移り住んだ人も多く、最初は町に溶け込むのが大変だったという声も。それでも、「困ったときには誰かが必ず助けてくれた」「町全体が家族みたいだった」と、猫実の空気を今に伝えてくれます。
今につながる猫実老舗と、新しい店


そんな猫実には、昔からの文化や暮らしを今に伝える老舗が、今も点在しています。中でも、今年で創業90周年を迎える「田中屋海苔店」は、浦安の歴史を語る上で欠かせない存在の一つです。遡ること128年前の明治31年、浦安で初めて海苔の養殖を成功させたのが、「田中屋海苔店」現社長の曾祖父にあたる田中徳次郎氏でした。その孫である田中常徳氏が、日本橋の山本海苔店で修行をし、昭和11年に「田中屋海苔店」の前身となる「乾海苔問屋・田中常徳商店」を開業しました。現在は三代目の田中孝昌さんとご家族で、その伝統を繋いでいます。


猫実2丁目にある和菓子店「餅萬」は、浦安駅が誕生した頃から猫実とともに歩んできた名店の一つ。今も変わらず地域に寄り添い、和菓子を通して季節の移ろいを届けています。”猫”をモチーフにした「浦安にゃんこ」は、自宅用はもちろん、贈答用としても人気の一品。手に取るだけで、この街のやさしさが伝わってくるような和菓子です。同じく猫実2丁目の、創業53年を迎えるベーカリー「ピエモンテ」では、二代目のご主人が朝早くから香ばしいパンを焼き続けています。昔ながらの味わいを大切に、時代に合わせたパン作りで、老若男女のお腹と心を満たしています。そして、昨年の秋頃からは、堀江にある野菜天国でお馴染みの「丸善青果」さんが、毎週月曜日の午前10時30分から11時30分まで猫実2丁目にある神明街区公園前の敷地内にて出張販売を開始。厳選された季節の野菜や果物は新鮮、とにかく美味しいと評判のお店さんです。


更に近年は、若い世代による新しい店も増え、街に新しい風を吹き込んでいます。猫実5丁目の名店「手打ち蕎麦ちんねん」は、浦安市内はもちろん市外からも、足しげく通うファンの絶えない一軒。こだわりの食材と日本酒で蕎麦前を楽しみ、手打ち蕎麦では四季折々の蕎麦を堪能できます。猫実4丁目の「猫実珈琲店」は、丁寧に淹れたコーヒーと手作りスイーツを楽しめるお店。イベントやギャラリー展示を通して、人と人をつなぐ憩いの場所としても親しまれています。猫実3丁目にも名店が点在! その中のひとつ、2022年に堀江から移転した「LA TIGRE(ラティーグレ)」では、素材を生かした料理を求めて舌の肥えた大人たちが集います。現在は水〜日曜にランチ営業(不定休)も行い、昼と夜で異なる表情を見せてくれます。


猫実2丁目の大三角線沿いに一昨年オープンした「ヤマグチクレープ猫実店」では、スイーツ系から食事系まで揃う可愛いクレープで、世代を問わず人気を集めています。(ゆうゆう手帖vol.55 11ページにてピックアップ)。猫実1丁目にある「富安茶楼(フウアンチャロウ)」は、2022年にオープンしたアジア料理店です。旅好きの店主が手がける料理は、屋台のような気軽さと本格的な味わいが魅力。どこか懐かしい店内で過ごせば、ふとアジアを旅しているかのような気分に浸れます。他にも、取材しきれないほど老舗・名店が集まる猫実。古くからの佃煮店や、煎餅店、商店や飲食店などがまだまだたくさんあるので、ぜひ”街ブラ”を楽しんでいただきたいです。
街とともに老舗が守ってきた時間と、新しい感性が生み出す今。その両方が自然に息づいているのが、猫実という街なのかもしれません。古いものを守りながら、新しいものを自然に受け入れる――。猫実はそんなバランスの中で今も育ち続けています。歩けばどこか懐かしく、立ち止まれば新しい発見がある。猫実は、時代とともに姿を変えながらも、人の記憶と歩みが静かに息づく街です。
※編集室が独自で取材しまとめた記事です。もし記事の内容に誤りがございましたら、お知らせいただければ幸いです。
※この内容は、フリーペーパー「ゆうゆう手帖」Vol.55号に掲載された内容です。
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