市民による浦安の地域情報総合サイト

浦安ってこんな街!

【浦安の、伝統と文化。】三味線、唄、踊りで語り継ぐ 潮の香りに、海の音が蘇る「浦安お洒落保存会」

浦安お酒落保存会

「お洒落(おしゃらく)踊り」は、鎌倉時代に始まった念仏踊りが起源とされています。鉦(かね)、太鼓、笛に合わせて唄い踊ることで、煩悩や苦しみを払い極楽浄土に導かれるとされ、多くの人々に広まったそうです。江戸時代末期、浦安でも流行したお洒落。その後、時代の移ろいとともに消滅寸前だったお洒落を復活させようと、昭和47年に有志が集い「浦安お洒落保存会」を結成し、伝統の継承活動を開始しました。

浦安お酒落保存会
(真ん中)浦安お洒落保存会の会長の内田静江さん。現在は三味線が3名、唄うたい1名、踊り手が7名、中には大学1年生の学生さんも在籍されています。郷土博物館のジュニア学芸員(市内小学校4年生~中学校3年生が対象)の子どもたちと一緒に練習を行うこともあります。また、介護施設などに出向きお洒落を披露することもあり、入居者さんに喜ばれているんだとか。年齢問わず楽しめるのも、お酒落の魅力ですね。

昭和49年には千葉県の無形民俗文化財に指定され、現在では千葉県内の様々な場所でイベントに出演し、漁師町・浦安の粋な踊りと音楽を、華やかに披露しています。
「漁師町の浦安では、シケで漁に出られない日に仲間が集まって芸事を楽しんでいたそうです」と教えてくださったのは、現在会長を務める内田静江さん。浦安には三味線や尺八、太鼓、笛などの芸事が好きな人が多く、お洒落はお祭りや新築祝い、結婚式といったお祝いの席でよく踊られていたそうです。お葬式でも披露され、故人を偲ぶこともあったとか。また、芸達者な人々が集いお洒落の団体を組み、全国を巡って披露することもあったんだそう。一方で、芸には厳しい方も多く、浦安の人に褒められることが一種のステータスでもあったそうです。

静江さんは現在唄うたいとして舞台に立ちます。唄には譜面はなく、過去の音声を元に発音と音程を合わせていくように覚えていたそう。全体の稽古を重ね、一つのものができたときは達成感を感じられるのも魅力的だと話します。
静江さんは現在唄うたいとして舞台に立ちます。唄には譜面はなく、過去の音声を元に発音と音程を合わせていくように覚えていたそう。全体の稽古を重ね、一つのものができたときは達成感を感じられるのも魅力的だと話します。
三味線の大家、藤本会宗家のすすめで昭和47年に浦安お洒落保存会が結成され、現在まで受け継がれています。現在三味線の師匠である森田さん(写真右)に在籍いただき、文化譜(譜面)にして教えることもあるとか。
三味線の大家、藤本会宗家のすすめで昭和47年に浦安お洒落保存会が結成され、現在まで受け継がれています。現在三味線の師匠である森田さん(写真右)に在籍いただき、文化譜(譜面)にして教えることもあるとか。


「浦安のお洒落は、三味線、唄うたい、鉦、太鼓のリズムに合わせて踊ります。伴奏と唄を担当する人々は『地方(じかた)』と呼ばれ、主に師匠役の男性がその役割を担っていました。そのため、地方を教わる際は『見て・聞いて・覚える』という厳しい学び方が求められ、譜面はありませんでした。しかし現在は、三味線の師匠でもある森田先生がわかりやすく記録した文化譜を使い、伝統の技を後世に伝えることが出来ています」。なんとも力強さを感じる三味線のリズムに、波のような唄うたいの芯のある唄声にのせて、踊り手の女性たちが派手な着物を身につけて舞う…。段物(芝居仕立ての曲目)になるとその物語にあった登場人物の着物を身につけるんだそう。踊り手が綺麗に着飾って「おしゃれ」に、そして「粋」に踊ることから「お洒落踊り」と呼ばれるようになったことからも、身に着ける衣装は華やかなものが多いとのこと。片袖を脱ぎ、裾のはじを高く折曲げ、色つきの手ぬぐいではちまきにしたり、長襦袢を見せて踊る姿はパワフルであると同時に、女性的な美しさも際立ちます。
演目に合わせ、踊り手さんはみなが一様に同じ動きをして踊りますが、大きく足を上げた男性的なダイナミックな踊りと、指先までつながる女性のしなやかさが混在。これが見ていて面白い!「歌舞伎の要素が入っていたり、男女の物語を歌にしている曲も多いので、一曲に男女の動きをするんですよ」と、踊り手の皆さん。立ったり座ったり、また歌舞伎でよく見る見得を切る表情やしぐさなど、エネルギッシュであり、かつとっても若々しい。しなやかな見た目に加え、力強さや運動量も感じさせるその踊りからは「古き良き時代の漁師たちの力強さ」を感じました。


現在、お洒落のメンバーは主に元町エリアにお住いの方々が多く在籍しています。祖父母がお洒落や三味線、民謡に携わっていた影響で、自分もやってみたいと感じるようになった方もいるそうです。漁師町だった頃の話を聞き、唄に込められた詩の意味を踊りで表現することで、「踊りを通して伝統を継承している」と、深い意義を感じていると話します。また、「生の三味線、生の唄で行うのも、お洒落の醍醐味です」とメンバーの方々。特にお洒落の三味線は演奏するのが難しく、ちょっと練習をしたくらいでは弾けないんですって…! お酒落の他にも、伝統芸能が好きだからと、日本舞踊や三味線、民謡を習いに行く方も多いそう。それが結果として、お酒落にもいい影響を与えているとか。「生演奏に合わせて踊るので、複数の芸能を学ぶことでお互いの気持ちが分かり、演奏や踊りがよりスムーズになるんです。色々なことを学ぶのは楽しいですよ」と、笑顔で話してくれました。
経験者の方はもちろん、未経験から始めた方も多くいらっしゃいます。現在は女性の踊り手さんが多いですが、男性の踊り手さんも募集中とのこと。浦安の伝統を知り、感じながら、漁師町のノリの良さをお酒落を通じて体感してみては!

浦安お洒落保存会では、一緒に伝統文化を継承する仲間を募集中!毎週土曜日(第1・2・4土曜に公開練習・第5土曜は休み)郷土博物館1階の視聴覚室にて練習をしています。活動日であれば見学や体験も随時可能とのこと。
浦安お洒落保存会では、一緒に伝統文化を継承する仲間を募集中!毎週土曜日(第1・2・4土曜に公開練習・第5土曜は休み)郷土博物館1階の視聴覚室にて練習をしています。活動日であれば見学や体験も随時可能とのこと。

浦安お酒落保存会

練習:毎週土曜日(第1・2・4土曜は公開練習)13:30~15:30
※第5土曜はお休みです
場所:郷土博物館1階・視聴覚室
(浦安市猫実1-2-7)

インスタグラム:浦安お洒落保存会

※この内容は、フリーペーパー「ゆうゆう手帖」Vol.48号に掲載された内容です。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローして最新情報を入手しよう

関連記事

月別アーカイブ

ページ上部へ戻る