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【浦安の音楽家インタビュー】なかなかメインを張らない楽器『ヴィオラ』と、自由に表現できる『古楽器』の魅力。7/4開催『バロック×モダンアンサンブル』では、バロックヴィオラにご注目!—ヴィオラ奏者・中島由布良さん

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来る7月4日、J:COM浦安音楽ホールにて、浦安にゆかりのある若手~中堅の音楽家5名が集い、『バロック×モダン アンサンブル』のコンサートを開催します。出演する音楽家5名の皆さまに、音楽との出会いやコロナ禍で考えたこと、コンサートで聴いてほしいポイントなどをお伺いする連載【浦安の音楽家インタビュー】。第二回は、ヴィオラ奏者の中島由布良(なかじま ゆうら)さんです。

練習が嫌いだった子ども時代。留学先のアメリカで、ヴィオラの魅力に目覚める

東京都世田谷区出身、音楽家の両親の元に生まれ、3歳からヴァイオリンとピアノを始めたという中島さん。「物心ついたときから仕込まれてましたね。どちらかというとわんぱくで、外遊びしたいタイプの子だったので、練習が本当に嫌いだった。なんとかして逃れようとして、グランドピアノの下に隠れたり、ヴァイオリンの弓で虫をつついたり、先生にいたずらしたりしてました」。子どものころは、『絶対に楽器を弾く人にはなりたくない』と思っていたのだそう…。「親ともいろいろあって、一度ヴァイオリンは辞めたんです。進学した高校で、友達に誘われてオーケストラ部に入ることになって、埃をかぶっていたケースからヴァイオリンを出してきました。自発的に楽器を持ったのは、この時が初めて。今まで楽器を持つときは常に緊張して真剣にやらなければならなかったのですが、遊びで演奏するのはとても楽しかったですね」

イメージ写真

その後、アメリカの北テキサス大学へ進学。「当時は超円高で、留学するのも日本の大学にいくのも変わらなかったんです。アメリカの大学って、入学した後何度でも専攻を変えられるんですよ。私は最初ジャーナリズムで入学したんですが、ミュージックセオリー、ジオロジー、コンピューターサイエンス等々いろいろ専攻を変えてました(笑)。優柔不断な私にはちょうど良かった」。てっきり音楽で留学されたのかと思いきや、そうではなかったんですね…!

日本では、 ⼤学の⾳楽学部というと難易度の高い受験や高額な授業料がかかる音大のみ…といった狭き⾨のイメージがありますが、アメリカでは大抵の総合大学に音楽学部があるのだそう。「専攻しなくても音楽の授業を受けることはできたので、副科でヴァイオリンのレッスンを受けていました。自主的にレッスンを受けたのはこの時が初めてです。奨学金がもらえたので大学院にも行って、ジオグラフィー(地理)を専攻しました。そのころ、ヴァイオリニストの友達と遊びでヴァイオリンとヴィオラのデュオの曲を弾いていたんですが、それをキッカケにヴィオラの魅力に気づいて。そこからヴィオラを弾きはじめました」。ヴァイオリンよりも一回り大きく、低い音の出るヴィオラ。ヴァイオリンの高音が苦手だったという中島さん、ヴィオラの魅力に目覚め、オーディションを受けてオーケストラにも参加。たちまちヴィオラ奏者として頭角を現し、国内外で幅広い演奏活動を行うようになります。

コロナで感じたポジティブな変化と、生で音楽を聴けることの贅沢さ

昨年からのコロナの影響で、演奏会が十数件中止・延期になってしまったのだそう。「去年の3・4月はまだ何もわからなかったし、マスクもアルコールもなくて怖かったけど、今だけ我慢すればすぐ収まるんじゃないか…とどこかで思っていました。でも結局、2月下旬から12月まで舞台に立てなかったですね」

2021年4月4日、J:COM浦安音楽ホールで開催された古楽器コンサートにて

「スタンダードが変わっていく、それ自体は悪いことではないと思っていて。オンラインでライブが楽しめたり、テレワークで通勤が必要なくなったり、いいこともありますよね。でもやっぱり、生で音楽を聴けることの贅沢さやありがたみというのは、しみじみ感じました」

演奏者が自由に表現できる古楽器。7/4のコンサートでは、中島さんの演奏するバロックヴィオラにご注目!

来る7月4日に開催される『バロック×モダン アンサンブル』のコンサート、中島さんは古楽器(楽器が登場した当時そのままのものを指す。温かな音色が魅力で、調律が狂いやすいデリケートな楽器)であるバロックヴィオラの奏者として参加されます。「モダンの世界(特に弦楽器)では、演奏の評価は弾き手の腕だけではなく、残念ながら演奏する楽器の性能に左右される場面も多い。楽器そのものの持つ音質や弾きやすさが優れた楽器であればあるほど、当然値段も高額で入手が難しく、結果的に楽器の性能(=財力)がモノを言ってしまう…そんなシビアな事実を目の前に突きつけられた経験が何度もあります。だからこそ古楽器の、比較的演奏そのものの個性が評価されやすい、許容範囲の広い世界に惹かれたんです」

「バロック時代に書かれた曲は、現代曲のように作曲家によって細かな指示(強弱、フレージング、その他詳細な奏法等)が譜面に記されていることがあまりなく、どちらかというと奏者に解釈が委ねられていることが多い。そのため、曲が書かれた時代の背景、当時の奏法や環境、作曲家のタイプや癖なども理解して解釈した上で、曲によっては即興やアレンジなども認められるという、⾃分の⾊を出せる⾃由さが魅力ですね」。You can play anything as long as it makes sence.(道理にさえかなっていればOK)という、古楽器を始めた頃に大学の恩師に言われた言葉が、中島さんの演奏での座右の銘となっているのだそう。

中島さんが演奏するバロックヴィオラ

温かな音色と自由な演奏が魅力の古楽器。7月4日開催の『バロック×モダン アンサンブル』では、G.P.テレマン, G.F. ヘンデルの曲を演奏されます。「バロック時代って、ヴィオラという楽器はありましたが役割が確立されていない時期で、ヴィオラのための曲が全然ないんです。が、テレマンは珍しくヴィオラ向きの曲を多く作っている。曲に遊び心があって、私も大好きな作曲家です。演奏するのは本来ヴィオラのための曲ではないのですが、ヴィオラで弾くのもいいな、こんなこともできるんだ!と思ってもらえたら嬉しいです」

日本や海外、様々な土地で活動されてきた中島さん。浦安に住んで6年、浦安の便利さ・住みやすさに「もう動けないです」と笑います。「住む前はディズニーのイメージしかなかったんですが、文化的なことにとても理解のある街だなと感じます。音楽ホールも相当豪華ですし、公民館の音楽室を見てもその造りや設備もしっかりしている。音楽のことをよく知っている方が関わっていらっしゃるんだなと感じます。コンサートにも親子連れからご年配の方まで様々な方が足を運んでくださって、興味を持ってくださる市民の方が多い街ですよね。ぜひ7月の『バロック×モダン アンサンブル』も、聴きにいらしてください!」。中島さんの奏でるバロックヴィオラの音色を聴きに、7月4日はぜひ浦安音楽ホールへ足を運んでみてはいかがでしょうか? お出かけが難しい方は、オンライン配信でも視聴できますよ!

中島由布良さんプロフィール…東京都世田谷区出身。北テキサス大学にて音楽理論、音楽学(古楽専攻)、モダン及び古楽ヴァイオリン・ヴィオラを学ぶ。ハーグ王立音楽院卒業。古楽奏者として、国内外の多くの古楽音楽祭に出演するなど、幅広い演奏活動を行なっています。
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*6/16にも渋谷で中島さんの出演するコンサートがあります!詳しくはこちら

*次回はギター奏者の岡本拓也さんへインタビューの予定です。お楽しみに!
*【浦安の音楽家インタビュー】バックナンバーはこちら
チェロ奏者・北嶋愛季さん

【バロック×モダン アンサンブル 開催概要】
7月4日は、浦安の音楽家たちの力に触れてみてはいかがでしょうか? 浦安ゆかりの音楽家5名による、古楽器とモダン楽器どちらも楽しめるコンサート『バロック×モダン アンサンブル』。チケット販売はこちらのサイトにてもう始まっています。浦安音楽ホール5階事務室でもご購入していただけますよ。ぜひ楽しみにしていてくださいね!

左上から、桐榮さん(ピアノ)・岡本さん(ギター)・与田さん(作曲) 左下から、中島さん(ヴィオラ)・北嶋さん(チェロ)
日時2021年7月4日(日)
14時開演(13時30分開場)
場所J:COM浦安音楽ホール コンサートホール
料金一般3,000円
学生2,000円(未就学児入場不可)
プログラムJ.S.バッハ: 無伴奏チェロ組曲 第2番(バロックチェロ)
G.P.テレマン, G.F. ヘンデル(古楽トリオ)
H. ヴィラ=ロボス: ブラジル風バッハ第5番よりアリア(ギター&モダンチェロ)
与田和也:モダンチェロのための新曲(世界初演)
C.ドビュッシー: チェロソナタ(ピアノ&モダンチェロ)
出演北嶋愛季 (バロックチェロ、モダンチェロ)
中島由布良 (バロックヴィオラ)
岡本拓也 (ギター)
桐栄哲也 (ピアノ)
与田和也 (作曲)
チケット販売バロックxモダン~アンサンブル in千葉 – パスマーケット (yahoo.co.jp)
音楽ホール5階事務室でも販売しています。
オンライン配信チケットバロックxモダン~アンサンブル – ツイキャス (twitcasting.tv)
*2021年7月9日(金)19時から7月23日(金)までチケット購入・視聴可能!

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