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浦安ってこんな街!

大人になった今だからこそ、旧宇田川家住宅が面白い。

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堀江のフラワー通り沿いにある、旧宇田川家住宅。明治2年に建てられた家で、建築年代がはっきりわかるものとしては浦安市最古の建物です。「子どものころ訪れたことはあるけど…」そんなアナタ、大人になった今こそもう一度訪れてほしい! 「歴史」「文化」だけでなく、「住まい」「家づくり」という観点からも発見がたくさんありましたよ!! 

店舗兼住宅の旧宇田川家住宅。深川から招いた棟梁が手がけた家。

通りに面した側は呉服屋・米屋・油屋・雑貨屋などの店舗として、奥と2階を住宅として使っていた旧宇田川家住宅。上写真の真ん中にある入口から入るとちょうど呉服屋の畳敷きが正面なのですが、この入口の格子戸は高さが1mくらいでしょうか、かなり低いですね…。「そう、かがまないと入れないんです。特に女性はまだ日本髪を結っていましたから、頭をぶつけないようにかなり気をつけていたと思います。呉服屋さんに来る方というのは、当時のセレブに当たる人たちですから、かがんでお店に入ることに、なんというか一種の緊張感のような、『呉服屋さんにで買い物をする』という特別な感情を持って入ってきたのではないかと思うんです」とガイドさん。建物や住んでいた人たちの暮らしぶりを、とても丁寧に解説してくださいます。

5785「揚げ戸」という上下にスライドさせる、商家の建具が珍しいです。

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呉服屋さんのエリアには当時の姿を模した人形が飾ってあります。「女の人は日本髪ですが、男の人はいわゆるざんぎり頭になっていて、この建物が建てられた当時・明治2年の時代を表しているんですよ」。
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広い土間のあるエリアは米・油・薬などを販売していたエリア。「よろず屋さん、今でいうところのコンビニみたいな感じでしょうか」。

遊び心ある「釘隠し」「欄間」、「飾り棚の戸」まで! すごく粋です

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奥の住宅部分、『中の間』は8帖のお座敷。その奥にお客様をおもてなしする『奥の間』(6帖)があります。ここで注目したいのが「釘隠し」。ちょうど柱と梁の交差する部分に、こんな飾りが…
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『中の間』には4つの魔除けの釘隠しがあります。「災いが来ないように、東西南北の四方を守る意味で獅子を配しているんです。釘隠しとは言いますが、この家は構造に釘を使用していないと言われています」。

奥座敷にはもっと面白い釘隠し!
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「全部で5つ、鳥に見えるものが多いですよね。欄間の透かし模様が竹なので、竹薮の中で鳥がさえずる…というイメージなのかなと私は想像しちゃいます」とガイドさん。
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床の間の脇にある袋戸棚は金箔が貼られた豪華なもの。
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なんとリバーシブルで、裏側にはお花の模様が描かれています! どちらを使うか、その時の室礼や季節によって変えていたのでしょう。

この屏風は、地元の漁師さんからの贈り物。
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なんでも、浦安の漁師さんが海産物を載せて江戸へ向かう際、中川の番所で待たされるために商品が傷んで売り物にならない…という問題があったのですが、そこを宇田川家の本家のご主人がかけあってくれたおかげで番所が検査なしで通ることが出来るようになり、そのお礼の品とのこと。この屏風の裏がまた、お洒落ですねぇ…!
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雨戸に付いた小さな窓、「臆病窓」の面白い用途。

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縁側に面した雨戸の一枚に、「臆病窓」とよばれる小窓がついています。「雨戸を全部閉めてしまった後、庭で物音がする…なんていう時に、ここからちらっと覗くんです。だから『臆病窓』。他にも夜間誰かが訪ねて来るときや、夜トイレの後に手を洗うときなどに使ったそうです」。

「も」のつく樹を3本植えると、その家は繁栄すると言われている!

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お庭は枯山水。岩を山に見立てて、その下に石を配して川に見立て、水を使わずに山と流水を表すという手法です。左手の奥にはお稲荷さんの祠があります。そしてここでの注目は庭に植えられた樹。「『も』のつく樹が3本あります。わかりますか?」とガイドさん。え~っと…あ、もみじ!「あ、もみじは違います(笑)。あれは後から植えられたもので、でもそういえば『も』が付きますね。正解は『モッコク』『キンモクセイ』『モチノキ』。この3本を庭に植えておくと、その家は繁栄するんだそうです。おそらくお金『も』ち、『も』の『も』ち、みたいなところから来ているんではないでしょうか」。
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このお庭、すごく落ち着きます。和風のお庭っていいなぁ、お庭欲しい…。

川と海に囲まれた浦安。水害に備えた屋根裏二階もあります。

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縁側のお手洗いと逆側には、つきあたりの壁?
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見上げてみたら、あった!! なんと上に、ハシゴと空間がありました。「水害が多発していた時代、この梯子を上った屋根裏二階には、ぬれては困るものを収納したり、水が引くまでの間、人が避難する部屋になっていたようです」。

台所の板の間には床下収納。今の冷蔵庫!

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台所の板の間は、女中さんや小僧さんなどが食事をする場所でした。板は全て外れるようになっており、漬物や調味料などを保存していたそうです。
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「現在の床下収納というと密閉されていますが、ここは風が通るようになっています。まだ冷蔵庫の無かった時代は、ここを効果的に使っていたんですね」。

2階なのに涼しい。その理由は…「風の通り道」を確保していること

そして2階。2階へ行く階段は、これまた隠している!?と思えるような感じで(思わずトトロに出てくるサツキとメイの家を思い出しました)、とても急です。
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2階には板の間と座敷があります。
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天井が低く、この当時の2階って熱気がこもってすごく暑いイメージがあったのですが、割と爽やか…「風の通り道があるんです。今日は窓を開け放していますが、フラワー通り側の窓の下に隙間が空いているのわかりますか?」
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写真だとわかりづらくてすみません! 確かに隙間があって、1階の土間へ空気が流れるのがわかります。階段上にある風だけを通す窓を開けると、雨戸を閉めた夜でも空気が通り抜けるので、快適に過ごせるのです。

2階の床の間と飾り棚。
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ちょっとした意匠も素敵です。
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リズム感のある親子格子の窓、障子の幾何学模様、長方形の角を少しだけ落としてみたり…こういう職人さんのこだわりは、この時代ならでは! 「この家は当時、通常の家の5倍のお金をかけて建てたと言われています。板ひとつ、柱ひとつとっても木目の美しいものばかり。天井の板も、通常の家の2倍の幅があるそうです」。なんて贅沢! 木材が高騰する今では、同じ材料はもはや手に入らないかもしれませんね…。

関東大震災や第二次世界大戦を経ても被害を受けず、150年近くここに建っている旧宇田川家住宅。寄贈される昭和58年のちょっと前まで実際に使われていたそうで、柱の傷や使い込まれた箪笥などを見ても、人と家とが紡いできた時間をじんわりと感じます。新しいものが重宝されがちな現代ですが、長い時間を経ているからこその味わいや存在感といったものを感じることができました。
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今日案内してくださったガイドさんは大ベテラン! 色々な話が聞けて、とっても面白かったです。本当は「ちょっと怖い話」なんかもあるらしいのですが、今日は取材ということで割愛されたそうなので…気になる方はぜひ『旧宇田川家住宅』を訪れてみてください! 月曜(月曜が祝日の場合は翌日)が休館日、入館料は無料です。見学の後はフラワー通りをのんびり歩いて、両脇の家やお店をのぞいて見るのも楽しいですよ。

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旧宇田川家住宅…浦安市堀江3-4-8 047-352-3881

〒279-0041 千葉県浦安市堀江3丁目4−8

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