浦安ってこんな街!
6.12015
軍艦島の廃墟郡にみる「マンションの寿命」とは? 【前編】
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マンションを購入する際、多くの方が気にされる「マンションの寿命」。
その答えを求めて廃墟となったマンション郡のある長崎県の端島炭鉱跡地(通称:軍艦島)へ視察に行きました。
「マンションが朽果て、倒壊する条件~構造編」では構造的な観点からお届けいたしました。
今回は別の視点からどういうときにマンションが寿命を迎え、「朽ち果てるのか」を軍艦島の事例から考察したいと思います。
実際に見た軍艦島は「朽ち果てている」とも言えるし、「朽ち果ててもいない」ともいえました。
コンクリートの構造としての耐久性は著しく高いことが軍艦島の建築物からも見て取ることが出来ました。
構造物としては軍艦島の鉄筋コンクリート造マンション群は”朽ちていない”といっていいのではないでしょうか。
鉄筋コンクリート造6階建ての31号棟などは軍艦島の中でも外から見る限り大きな損傷は少なく、今すぐ崩れ落ちるようには見えません。
台風接近時には島全体を飲み込むような大波を幾度となく直にかぶっていたのにも関わらずです。
一方、木造や鉄骨造の建築物はどれも一様にその原型を全く留めておらず、無残に崩れ去っています。
これは鉄骨造2階建てだった50号棟(映画館)や木造2階建ての23号棟(寺院など)があった付近の様子です。
右端に少しだけ写っているのが鉄筋コンクリート造6階建ての31号棟です。
ここからも鉄筋コンクリート造の構造としての堅牢さが見て取れました。
しかし、”構造体として朽ちていない”と、”人が居住できるという意味で朽ちていない”は大きく違います。
今の「軍艦島」に人が居住できると考える人はいないと思います。
軍艦島の鉄筋コンクリート造建築物は構造体としては”朽ちて”いませんが、人の居住空間としては”朽ちて”、とうの昔に寿命を迎えています。
軍艦島の30号棟は日本最古の居住用鉄筋コンクリート造であり、確かに古いです。
では建物の寿命は築年数が決めるものなのでしょうか。
実は日本最古の鉄筋コンクリート造の建築物は軍艦島の30号棟(1916年築)ではありません。
三井物産横浜ビルは1911年築で日本で一番最初に建築された鉄筋コンクリート造建造物です。
軍艦島は”居住用としての最古”の鉄筋コンクリート造なんです。
驚くことに、この三井物産横浜ビル建物は今も名を変え、KN日本大通ビルとして現役で使用され続けています。
写真を見てもまだまだ寿命を迎えているようには見えません。
更に加えると、日本が世界に誇る「法隆寺」は築約1400年です。
重要文化財として常に維持管理されてきた結果、木造ですが世界最古の現存建築物となっています。
そして、今日もその立派な佇まいで多くの観光客を何ら不安も抱かせることなく招き入れています。
license karesansui
朽ちてしまった「軍艦島」と現役を続ける三井物産横浜ビルや法隆寺との差はどこにあるのでしょうか?
「人が維持・管理しなくなる」ことこそが、その質問への直接的な回答となるでしょう。
軍艦島は1974年に炭鉱が閉山となり、その年を境に無人島となりました。
以降40年超も手付かずの状態で放置されることになりました。
どんな建築物でも放置していれば必ず朽ちます。
朽ちるスピードが木造や鉄筋コンクリート造など、構造体によって違うだけです。
言い換えると、どんな構造体であれ適切な維持管理がなされれば建物としての延命が可能とも言えます。
そこで次なる疑問が湧いてきます。
法隆寺や三井物産横浜ビルが「維持され続け」、軍艦島が「維持されなくなった」差はどこにあるのでしょう?
人が維持管理しなくなる建築物ってどういうものなのでしょう?
少し長くなってきたので、次回に上記の点についてお届けしたいと思います。
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