2022年4月から、成人年齢が20歳から18歳に変わりました。成人になることで出来ることが増えますが、多方面での責任も自分がおうことになります。浦安市海楽にある千葉県立浦安高校では、そんな18歳を迎える高校３年生を対象に「18歳成人に関する授業」が行われています。どんな授業が行われているのか、取材させていただきました。

映画を通して「18歳成人」を知る。

「浦安高校では昨年より、高校３年生に向けて『18歳成人に関する授業』が始まりました」と教えてくれたのは、浦安高校進路指導主事の金子光裕先生です。「今年はご縁があり、授業の入口として映画『18歳のおとなたち』を上映させていただけることになりました」

11月中旬、浦安高校で映画上映会があり取材にお伺いさせていただきました。

佐藤周氏が監督を努めた映画「18歳のおとなたち」は、教育委員会の新米職員と問題を抱えた18歳たちが大人の階段を登る、実話を元にしたストーリー。来年春一般公開予定、先行公開もまだの映画をイチ早く見られるとのことで生徒さんたちもちょっとソワソワしている様子でした。

上映前に、映画をプロデュースした株式会社エクセリングの木谷真規さんから映画の紹介がありました。「皆さんにお願いした事前アンケートでは、成人になることについて『ワクワクする、楽しみ！』という意見が多かったのですが、成人になることで甘い罠を伴ったリスクもあります。この映画は実話を元に作成されています。何かを感じ、少しでも心に残る映画となっていたら嬉しいです」

映画がはじまるとザワザワしていた会場も静まり返り、生徒さんはみんな集中して鑑賞していました。

映画で描かれる“18歳成人”たちの世界は、青春真っ只中のキラキラした未来への希望を感じさせる面のある一方、様々な葛藤や悩み、そして成人特有の甘い罠への連続。ハラハラする場面もありましたが、友人との絆、親子愛を感じるシーンもあり生徒さんの中には涙を流している子もいました。

上映後「いかがでしたか？」との木谷さんの問いに、生徒さん達は…

「契約書を交わす怖さを知った」「賠償金が発生すること。契約を交わすことを安易に考えてはダメだと分かった」と、成人になることで訪れる甘い罠への誘いの怖さを皆さん実感していました。また、「友達の大切さが改めて分かった」「親のありがたさを感じた」と友達や親の大切さを感じた生徒さんも多く…

「そうですね。親や人のありがたさを感じてもらえていて、とても嬉しいです」と木谷さん。「帰ったらお母さんがいて、温かいごはんが用意されていてって当たり前のことじゃないんです。この映画が18歳成人を迎える皆さんにとって、心の中に少しでも残るものになっていたら嬉しく思います。これから様々なことがあると思うけれど、18歳を迎える君たちへ、エールを送りたい気持ちです！」と上映会を締めくくりました。

成人になることは素晴らしいこと！反面、リスクや責任も伴うことを教えていきたい。

今回の映画上映では事前・事後と生徒さんにアンケートを行い、18歳成人に関してどのように考え方が変わったかを聞いています。

「成人になる自覚があるか？」との問に映画前後ではいが64.5％→87.8％と増え、自覚が芽生えていました。また「不安はあるか？」の問では、はいが43.4％→45.2％と少し増えていて、映画内にあった契約や賠償金等の怖さ、甘い罠への誘いが世の中にはあることを学んだ様子が見られました。

「18歳成人についてワクワクする！といった生徒の感想が多く、楽しみに思ってくれるのは嬉しいけれど、まだまだ世間知らずな反応を感じていました」と金子先生。「これはしっかり生徒たちの認識と向き合うべきだと思い、18歳成人に関する授業の内容について見直すことにしました。昨年から行われている18歳成人に関する授業ですがテーマが生徒にとって退屈なものが多く、どうしたら興味を引きながら18歳成人を伝えられるのか…と模索していました。そんな時に、映画上映会の企画を株式会社エクセリングの方から提案していただきました」

今回の映画上映、実は浦安高校の生徒さんが株式会社エクセリングへ内定したことがきっかけなんだそう。「18歳の君にこそ見てほしい映画なんだよ」との話から、エクセリングで働く浦安育ち・在住の渡邊さんが「浦安高校で上映が出来ないか」と企画。大好きな地元浦安に貢献したいと尽力し、金子先生の協力を得ながら今回の映画上映が実現したそうです。

浦安高校ではこの後、今回の映画を入り口に11月～1月の間で、お金のこと・法律のこと・身だしなみのことと3テーマに分けて「18歳成人に関する授業」が行われます。「お金のこと」では外部のゲスト講師を招き、クレジットカードや金融関係トラブルの注意啓発や、資産形成・運用の話までしてくれるそう！大人でも受けたくなってしまう授業ですね。

「在学中に成人をむかえる生徒たちに、何か出来ることはないかと常々考えていました。3年生の12月～卒業までって、進路が決まるとなんとなく過ぎてしまう期間なんですよね。卒業を迎え新しい世界に飛び出す生徒たちへ、最後に高校が出来ること…そのひとつが18歳成人に関する授業です。せっかく行う授業ならば、頭と心を動かせるものにしたいと思っていました」

はじめは何をしたらいいのか？と迷うこともあったという金子先生。模索の中で様々な人とつながり、支えてもらっていることを実感したそうです。

「たくさんのご縁に恵まれたことに感謝しかありません。株式会社エクセリングの皆さん、浦安高校の先生方もバックアップしてくださり、今回の企画が実現できました。そして地域メディアの方に取り上げていただけることで、浦安の方にも“浦安高校の18歳成人”のことを知っていただける機会になったかと思います。浦安高校は、地元の皆さんに支えられながら成長した高校です。これからも地元に愛される高校として、皆さんと一緒に成長し続けていきたいと思います」

多感な時期に、子供と成人の境界を迎える“18歳のおとな”たち。映画の中で主人公が言っていた「18歳だけどガキなんだよ！」という言葉が、とても印象的でした。18歳で成人…今回上映された映画と金子先生のお話を聞いて、はるか昔に“大人”になった私も“18歳で成人”について、もう一度向き合って考えるべきかもしれないと思いました。

今回上映された「18歳のおとなたちへ」は来春公開予定です。また、12月15日(金)まで、池袋シネマ・ロサにて先行上映がされています。成人を迎える18歳の皆さんはもちろん、成人をすでに迎えた方、そして大人の皆さん、ぜひ映画館に足を運んでみてください。
また、映画をプロデュースした株式会社エクセリングでは、2024年1月8日（月祝）の成人の日に新成人応援イベントを開催予定とのこと。ユナイテッドシネマ豊洲にて、「18歳のおとなたち」のキャストに加え人気インフルエンサーも出演予定だそうです（詳しくは株式会社エクセリングHPをご参考ください）。

18歳成人について、子供たちに真摯に向き合い真剣に考える先生がいて、そこに共感する大人たちが集う浦安高校。そんな高校がある浦安を、改めて素敵な街だと思いました。

■千葉県立浦安高校
昭和48年に開校し、2022年に50周年を迎えた浦安にある県立高校です。豊かな体験、確たる目標、深まる自信を軸に「主体性」を育む教育目標を掲げています。

浦安市海楽2-36-2／電話：047-351-2135（平日8:00～16:50）