市民による浦安の地域情報総合サイト

浦安ってこんな街!

【連載Vol.5】子どもの成功と幸せを願う父からの「息子への手紙」|第1章「子育ての苦労」こそが「親の楽しみ」

5.家族旅行と心配り

「ねぇあなた、太爾(たいじ)が旅行に行かないと言ってるけど、どうする」と妻が言います。「何故行かない、と言ってるんだ? 留守番する代わりにお金をくれと言ってるんじゃないのか?」「友達とカラオケに行く約束をしたとか言ってるわ」その夜、次男で中学三年生の太爾と話をすることにしました。「太爾! 何で行かないんだ」「ゴルフやりたくない人間を無理に連れて行くことないじゃない。それに友達とカラオケの約束したし」「カラオケは何時でもできるんだから、先に延ばしてもらえばいいじゃないか。家族旅行は連休にしかできないし、皆で行くから家族旅行なんだぞ。それに行かないような、小遣いなんかあげないし、罰金をとるぞ! 罰金を払わないようなら、一年間小遣い無しだ」。

罰金のおどしが効いたのか、太爾も二泊三日の家族ゴルフ旅行に行くことになりました。かなり強引なやり方でしたが、実は私には魂胆があったのです。中学三年ぐらいになると、親父よりも友達の方が大切になるし、お金の計算もできるようになります。もう半分大人なので、自由勝手が始まります。家族旅行に行かない分のお金を自分にもらって何かをしよう、とか考え始めるものです。かつて、私自身が「結婚式を止めて、その分お金を下さい。その分で新婚旅行するから」と言って、親に叱られた経験があるくらいですから、子供の気持ちはよくわかります。だから、家族が一つになって動くことの大切さを教えたかったのです。そして、ゴルフという紳士のスポーツを一緒にやることで、厳しいルールと他人への心配りというマナーを教えたかったのです。

ところで、ゴルフを始めて驚きました。三男の向爾(こうじ)は小学三年なので全部ティーアップさせ、むずかしい傾斜からはフェアウェイの易しい所に出して打たせて、空振りなどのないように、楽しいようにさせていました。初心者や女性、子供の場合には、まずボールが前に飛ぶように、ティーアップさせたり、芝の浮いた所に移してから打たせたりするものなのです。そうしないと、何度も失敗を繰り返して本人が嫌になってしまうし、後から来る組に待たせることになって迷惑をかけてしまうことにもなるからです。これもまた、他人への思いやりでありルールでもあります。二番ホールで、太爾のボールが左に曲がって土手の木の後ろに止まりました。そこで、私はそのボールを木が邪魔にならない打ち易い所に移したのです。すると、太爾が「お父さん何してるの?」と怒った顔で近づいてくるのです。「うん、木に当たるとケガをするので左に移したんだよ」と答えながら、こいつはルール違反を嫌がっているんだな、と感じ、一瞬ですが、何か恥ずかしい気になりました。ルールを教えようとして、ルール違反を彼の為にしていたのですから。その後、ずーっと注意して見ていたら、絶対にボールを動かさないし、打数の計算も、いくら失敗してもゴマかさないで申告しています。去年まではグリーンで走ったり、スパイクで傷つけたり、次の所まで行くのにノタノタしていたのが全て無くなったのです。成長していく姿を確認できて、楽しく、嬉しいゴルフでした。

興が乗って、「太爾、ハーフで55を切ったら賞金だ!」と言ってしまい、三回も賞金を払わされてしまいました。太爾、またゴルフをやろうぜ! もうすぐ私もシングルの腕前、お前が私を破ったら、何を賞品にしようかな? ま、当分無理だろうけどネ!

文:今泉浩一
1941 年福岡県生まれ。’67 年早稲田大学法学部卒業/ ’79 年(株)明和地所を創業/現在は(株)明和地所会長。「書く以上は事実を曝けだして、心の底から思ったことを書こう! 」と思っている。格好の良いものや美しい文章からは本当の心は伝わらない、と思うからである。書きながら、涙が溢れて止まらなかったこともある。親として、人生の先輩として、ビジネスマンとして、また経営者として、私が体得したものを、そのまま君達に伝えたい!
「息子への手紙」は、Amazon で販売中!

※この内容は、フリーペーパー「浦安に住みたい!」2024年9-10月号に掲載された内容です。
※フリーペーパーに掲載されている日程が変更になる場合があります。最新情報はそれぞれの店舗・主催者にご確認ください。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローして最新情報を入手しよう

関連記事

月別アーカイブ

ページ上部へ戻る