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【連載Vol.8】子どもの成功と幸せを願う父からの「息子への手紙」|第1章「子育ての苦労」こそが「親の楽しみ」

18・長男亮爾と私との勝負の歴史

(1)君とは、何回も勝負したね。
君は1歳で歩き始め、1歳6ヶ月頃には20曲くらいの歌を歌えるようになっていた。私達は、「この子は頭が良い! 天才だ!」と自慢に思っていたものだ。入船中央エステート101号室を購入して住んでいる頃、君が小学1年生の夏頃か、庭の向こうで誰かが虐められていた。虐められていたのは亮爾だった。「何してるんだ?」と声をかけると、相手が少しひるんだが、亮爾は攻撃を避けるだけの感じ。「なんだ亮爾! 喧嘩なら俺が付いている!」と言うと、恐る恐るやりかえそうとするが、相手の力が強くてやり返せない。その場はそれで済んだが、どうも亮爾は弱そうだ、と判った。同じ頃、お母さんが、公文の先生から「亮爾は少し知能の発達が後れているようだ」と言われた、と言う。「そうか?」「俺の子がそんなわけがない」「亮爾は、いずれ力を出してくるから気にするな!」と、全く気にもしなかった。

その後そんなことは忘れてしまい、君が3年生の頃か、少年サッカー部だったので、見に行ったら、君はボールの近くでウロウロするばかりでボールに一回も触れないでいる。俺の子が情けない!と思ったので、君を呼び寄せて言った。「亮爾! ボールに触ってこい!」「10回ボールに触れたら、何でも買ってやるぞ!」と。そしたら、急に走り出して、ボールにちょこんと足で触って、1回、2回と触りだした。蹴るまでには行かないが、触るだけでもまぁ良いか、と見ていたら、10回触ったら私の所に飛んできて、「お父さん、10回触ったよ!」と報告し、その後はもう触ろうとしない。その時、何を買ったか忘れたが、気の小さい弱い子供に育ってしまったことには気づいた。そんなこともあったのに、君の為に何かをすることは無く、私はまた翌日からは仕事に専念し、子供のことはお母さん任せにしてしまった。今思えば、もっと父親の私がすることがあった、と反省しているが、亮爾には申し訳ないことをしてしまった。

(2)一回目の勝負

君が中学3年の時、そろそろ亮爾の将来を考える頃だな、と考えて、父母会の副会長を引き受けた。私は、校長に頼まれてPTAの会則を作り、PTAを創ったりした。当時は荒れた中学校の時代で、虐め事件もしょっちゅうあったし、学校の物置が燃えるボヤ事件等が起きた。当時の君は、空手やボクシングの道場に通い、かなり強くなっていた。そんなある夜、君の友達が迎えに来て、夜遊びに出かけようとしていた。たまたま居あわせた私が、「おい、何処に行くんだ?」と聴いたら、「ゲーセンに行く」と言う。「もう夜の10時だ。明日にしなさい!」と言うと、「俺の勝手だろう?」と言う。「ダメだ!」「親に食わせてもらっているのに、夜中まで遊びほうけるのは許さんぞ!」「夜中まで遊ぶのなら、自分で働いて稼げるようになってからにしろ!」と言ったが、「俺は行くよ!」と出て行こうとする。「お前、今出かけるなら、この家に戻ってくるな!」「ここは俺の家で、子供を育てる家だ」「自分勝手に遊びほうけるような子供を育てる気はない」「自分勝手にしたいのなら、この家に帰ってくるな! 自分で働いて食っていけ!」と怒鳴っていた。そして二人のやりとりを聴いていた友達に、「おい君も、友達なら夜中に息子を連れ出さんでくれ!」と言うと友達は帰って行った。残った亮爾は、「判ったよ! 出て行くよ!」と言って三階の部屋に上っていった。おろおろするお母さんに、「これで一人の子供を失うかもしれない」「私が寝ている内に殺されるかもしれない」「それでも、親として、言うべきことは言わねばならない。やるべきことはやらねばならない」と言って夫婦で親としての覚悟をした。(次号に続く)

文:今泉浩一
1941 年福岡県生まれ。’67 年早稲田大学法学部卒業/ ’79 年(株)明和地所を創業/現在は(株)明和地所会長。「書く以上は事実を曝けだして、心の底から思ったことを書こう! 」と思っている。格好の良いものや美しい文章からは本当の心は伝わらない、と思うからである。書きながら、涙が溢れて止まらなかったこともある。親として、人生の先輩として、ビジネスマンとして、また経営者として、私が体得したものを、そのまま君達に伝えたい!
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※この内容は、フリーペーパー「浦安に住みたい!」2025年5-6月号に掲載された内容です。
※フリーペーパーに掲載されている日程が変更になる場合があります。最新情報はそれぞれの店舗・主催者にご確認ください。

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