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浦安ってこんな街!

1965~72年の浦安の写真展に行ってきました。当時の雑踏と熱気が手に取るように感じられる、白黒写真の魔法にかかった。【28日まで】

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今日の舞台は、浦安…ではありません。やってきたのは、西武池袋線・江古田駅
 
駅を出て商店街を歩くと、すぐに『日本大学芸術学部 江古田校舎』が姿を現します。

実は今、日本大学芸術学部写真学科のギャラリーで、1965~72年の浦安の写真展が行われているのです!

ギャラリーは大学の中にありますが、守衛室で訪問理由を述べて受付をし、カードを受け取ればどなたでも入れます。

こちらがその展示室。この展示『浦安 東京ディズニーランドが出来る前』は、写真学科で講師を勤めていらっしゃった小泉定弘先生の退職記念展なのです。
 

なんと、小泉先生にお話を伺うことができました!「最初に浦安に行ったのは、東京オリンピックの次の年(1965年)で、学生のとき。担当の先生に連れて行かれて、みんなでバスに乗ってね。今の市役所があるあたりに降りたんだけど、そのとき一番初めにシャッターを切ったのがこの写真だね」。

ちょうど埋め立てが終わって、水が引くのを待っているところなのだそうで…「いきなり目の前にこんな景色が現れたら、写真を撮る者として感動しちゃうよね!」と小泉先生。

その後、学生みんなで浦安に来るということは無かったそうですが、小泉先生は浦安に通い続け、写真を撮り続けます。「浦安の持つ独特の雰囲気と、ピッタリ来たんですね。当時の浦安は、といってもピークは過ぎていたと思うけど、漁師町の活気がありました。最後の輝きというのかな。1965年から撮り始めて、だんだんその活気も薄れていって、7年後の72年には僕の感じていた“浦安らしさ”というものはほとんど無くなってしまった。だから72年までなんです」。1969年には東西線が開通・浦安駅が開業し、東京のベッドタウンとして都市化が加速していく浦安。小泉先生は、浦安の人々の生活に入り込み、都市化する前の浦安の生活の数多くを写真として残しています。


「上の写真は、境川西水門の堀江側ですね。左側の堤防の向こうは江戸川です。こうして海苔を干している風景が、いたるところで見られました。構図的にも良いでしょう。下は、海苔の入札ですね。同じ金額だったらこうやって、じゃんけんで決めるんだよね」。

見所は、境川を中心とした堀江・猫実の当時の姿。記念橋や江川橋は、当時とだいぶ変わっているはずなのに「あ、わかるわかる!」と思う写真ばかりです。「これは『浦安大師』といって、念仏を唱える人が集まって、当代島の善福寺から始まって浦安を練り歩くんです。今はもうやっていないみたいね」。

そしてもう一つの見所は、スナップ。

写されているどの人も、その人らしさが滲み出ています。こんなふうに人々の生活に入り込んだ写真を撮るのって、簡単には出来ないと思うのですが…「仕事の邪魔だろうし、撮らせてもらえないかなと思いきや、浦安の人たちは快く迎えてくれましたね。僕は、浦安で写真を撮っていて、嫌な顔をされたことないんです。やっぱり何か波長が合っていたのかもしれません」。

 
白黒写真って不思議です。色がないからカラー写真より情報が少ないはずなのに、耳を澄ますと雑踏が聞こえてきそうな、ふと当時の湿り気を帯びた熱気に包まれるような、潮の香りが漂ってくるような、そんな気がしてくるのです。少ない情報を脳が補おうと、感覚をフル稼働させているのでしょうか…。「僕は今でも白黒で撮ることが多いです。フィルムでね」と小泉先生。写真の先生にカメラを向けるなんて…と思いながらも、1枚撮らせていただきました。

この日初めてお会いしたはずの私なのに、少しも壁を作らず楽しくお話をしてくださった、ユーモラスな先生です!

見ていると、東西線浦安駅が開業した当時の写真もありました。今やビルがたくさん建ってこんなふうに見えることはありませんが、この歩道橋…もしかして…

こちらは浦安で行われた最後の海苔の入札の時の写真。

「これが1972年に撮った最後の写真です。最後だからっていうんで、みんなで並んだんだけど、なかなか良く撮れてるでしょう。みんなとっても良い表情をしていますね」。

こちらは、埋め立てがそろそろ終わるところ。

「この大きな鉄パイプで、海のそこの砂と海水を吸い上げてくるんです。上の写真はパイプがそろそろ外されるところじゃないかな。そして舗装されると、下のようになる」。

展示してある写真の他に、浦安の写真をまとめた本もあります。もっとたくさんの写真が掲載されているので、こちらもぜひ見て欲しい!

まだ回りに何も無い清流弁財天や境内で網を補修する漁師さん、埋め立ての終わったばかりの海楽・東野の様子…

他にも、子どもたちの姿もあれば、赤ん坊を背負ったお母さんたち、夏や冬など季節も様々。私たちがいつも歩いている道に、ほんの40年ほど前にはこういう景色が広がっていた…そう思うと、私たちが今ここにいるのは、この土地を連綿と受け継いできた歴史があってこそなのだという気がしてきます。

浦安が都市化していく直前の7年間を写した写真展は、4月28日(金)までの開催。小泉先生に会えたら、ぜひ写真にまつわるエピソードを聞いてみてください! 面白い話がたくさん聞けること、間違いなしです。浦安からはちょっと遠いですが、来場される方も多いそう。撮影当時の浦安を知っている方も、知らない方も、何か感じるものがあるはずです。ぜひ、足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

【小泉定弘先生 退職記念写真展『浦安』―東京ディズニーランドが出来る前】

開催期間

~平成29年4月28日(日曜休館) 10時~18時

場所

日本大学芸術学部江古田校舎/写真ギャラリー
西武池袋線江古田駅下車・江古田校舎東棟1F
東京都練馬区旭丘2-42-1

〒176-0005 東京都練馬区旭丘2丁目42−1

※正門右手側の守衛室で受付が必要です

問い合わせ 03-5995-8210

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