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【助産師なんでも相談室vol.3】「守ってあげる」から「受け止める」へ。子どもが何でも話してくれる関係性をつくるためには、“子離れ”が大切!【性教育~思春期編~】

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前回の【助産師なんでも相談室】でご紹介したのが、幼児編の『性教育』。今回はちょっと年齢を上げて、思春期の子どもを持つ家庭向けの『性教育』を、浦安助産師会の皆さんと考えてみました。やはり大切になるのは親子の信頼関係。そして思春期を経て大人になっていく子どもたち、その過程には親の子離れという大きな問題の存在もありました。お話を聞きながら耳が痛い…でも意識しておきたい! そんな『性教育~思春期編』、お届けします。

幼児編はこちら!↓

子離れポイント①身の回りのことは、できるようになったら自分でやらせる

「まず始めに、親だからって子どものことを全部知っている必要はないし、知らなくていい。子どもにも、親さえ立ち入られたくないプライベートがあるということを、知ってほしいです」。そう話すのは、佐野産婦人科で助産師を勤めている増田さん。最近の性教育の現場では、小学校高学年になっても親子でお風呂に入るなど、親子の距離が近いケースが多々あるのだそう。

子どもは親とは違う一人の人間。違う人格の人間として、子どもが小さいころから意識していく必要があります。親子の距離も、親が意識して少しずつ手を放していくことが必要です」と増田さん。一緒にお風呂に入って体や頭を洗ってあげていたけれど、歯磨きは毎回仕上げをしてあげていたけれど、自分でできるようになったら子ども一人でやらせてみる。子どもが大きくなるにつれ、少しずつ手を放していくことで、大人になったときに一人で立てるようになるのです。

…と頭ではわかっていても、難しい! やっぱり頭に泡付けたままお風呂から上がってきたら「もうちょっとちゃんと流しなさい!」と言いたくなるし、虫歯になったらかわいそうだから仕上げ歯磨きもしてしまいます。「そうですよね、すごくわかります。でも、それで苦労した経験をさせればいいんです。ちゃんと髪の毛を洗えなくて臭くなったり、ちゃんと歯磨きをしなくて虫歯になったり、そういう経験をして自分で『ちゃんとやらなきゃ』と思うことで、子どもは自分で動くようになる。『お母さんに叱られるから』じゃなく、自分の意思で動くんです」

子離れポイント②子どもが叱られる=親が叱られる、ではない!

子どもが叱られると、自分が叱られているように感じてしまう…そんなことってありませんか? それはもしかしたら、子どもを自分の所有物のように扱ってしまっているサインかもしれません。私はこのあたり、非常に耳が痛いです…。今年小学校に入った娘、朝起きるのが苦手で遅刻気味、先生に叱られることもしばしば。ついつい「早く起きなさい!また先生に叱られるよ!」と私が朝から怒ってしまう。遅刻しなかった日は、「良かったね」なんて子どもを労わるように見せて、実は私自身が満足している…。子どもが怒られたり褒められたりすることを、まるで自分のことのように捉えてしまっているのです。

「子どもが怒られるのを嫌だと思う必要は全くありません。叱られることで成長につながる、むしろ喜ぶべきことなんです。子ども時代は何度失敗したっていいんですよ。子どもの失敗は成長のもと!」と話すのは、フリーで子育て支援や学校の講師を務める塩見さん。例えば宿題、ついつい「宿題やりなさい!」と何度も強く言ってしまいがちですが、声をかけるなら「宿題やりなよ~」くらいのトーンで1・2回程度にしておく。それで宿題をやらず、翌日先生に叱られてしょげて帰ってきたら、親は「やっぱり叱られちゃったか。次はちゃんとやったほうがいいんじゃない?」と余裕を見せる…、っていやいや、鬼の首を取ったように「ほれ見たことか!」と言ってしまいそうな私…。「それもわかります(笑)。でも失敗したことをクドクド言ってもしょうがないので。前を向く、心を持ち直す、そんな言葉がけができるかが大切ですね」

子離れポイント③「守ってあげる」から「受け止める」へのシフト

親が子の手を放すためには、我が子を信頼していることが大前提。先輩ママでもある助産師さんに、どんな時に「我が子を信頼できるな」と思いましたか?と伺ってみました。「子どもが自分でものを考えて発言・行動するようになったとき」と塩見さん。「中学生の子どもが電車に忘れ物をしたとき、自分で問い合わせ先を調べて鉄道会社に連絡していて、やるじゃん!と思いましたね」

「普段は口数が少ない息子が、これはちょっとやばい事したなって時には、ちゃんと親に正直に話してくれたり、相談してくれた時」と増田さん。「ここは信頼できるけど、ここはまだダメだなってこともあるから。でも親というのは、子どもに何度裏切られても信頼しなきゃいけないんです。思春期は、不安定で失敗を繰り返す子どものありのままを受け止める事がメインになってきますね。『失敗しないように守る』のではなく、失敗を経験することで、子ども自身が自分で道を切り開いていくことを信じて、辛抱強く待ってあげることも必要です」

「子どもは子どもなりに、親の知らない場所でたくさん傷ついた経験をしているんです。時にその辛さが、大人には理解できない行動をしたり、反抗的な態度につながっていることもあります」と、すず助産院の來田さん。「特に小学校高学年~中学生にもなると、友達づきあいや学校の先生との関係などが、日常生活に大きく関わってきます。二次性徴の時期は、心も体もストレスを受けやすいのです。子どもの言葉を否定せず、辛さに共感してあげることも大切です」

小さいころから親子の信頼関係を積み重ねていくと、「自律」の土台が築ける

前回の『性教育~幼児編』でもご紹介したとおり、性教育の基本は『言いたいことを言い合える信頼関係づくり』。思春期を迎えて子どもが不安定になっても、「何があっても親がいる。私の家には居場所があるから大丈夫」と子ども自身が思えていれば、大事なことは話してくれると言います。「信頼の積み重ねは今からでも始められます。ぜひ今日から意識してみてください」と増田さん。

逆に、家に居場所がない子どもは、外に居場所を求めます。そこには性暴力や犯罪など、子どもにとっては大きな危険が潜んでいる事も多いのですが、そんな危険な場所であっても、自分の居場所を探して出ていき、結果として望まない妊娠や病気につながってしまうこともあります。「生きづらさを抱えている子ほど性教育が必要なのは事実。でも知識だけ与えても、人としての尊厳が大事にされないと内容が入っていかないんです。一人ひとりが大事にされるということは、全ての根本ですね」と來田さん。

子どもが話してくれないときは…

とはいえ思春期を迎え、子どもが話をしてくれなくなったと感じることもあるでしょう。來田さんが相談員を務める日本家族計画協会のLINE相談には、性器のこと・月経のこと・セックスのこと・妊娠不安など、思春期の子どもたちからのリアルな相談が寄せられるそうですが、みんな「親には言えない」と口を揃えるのだとか。そんな時は、頼れる本やサイト・悩み相談に対応してくれる機関を知っておくと安心です。

■思春期向け図書

ポップコーン天使』(漫画)手丸かのこ、山本 直英 子どもの未来社
おれたちロケット少年』(漫画)手丸かのこ、金子由美子 子どもの未来社 
…思春期の様々な体や心の変化などが書かれています。性毛や性交、男子は射精、ペニスの大小、包茎、ペニスの洗い方について、女子は月経、ブラのことが書かれています。どれも小学校高学年が持ちそうな悩みです。マンガもあり読みやすい本です。

男の子のからだの絵本』北沢杏子 アーニ出版
女の子のからだの絵本』北沢杏子 アーニ出版
…この2冊も図が多くこの年代の子が理解しやすい1冊です。先に紹介した2冊と同じように思春期の体の変化や悩みが書かれています。

おちんちんの話』山本直英 子どもの未来社
…男の子の射精についてわかりやすく書かれています。もちろん、プライベートゾーン等についてもです。

サッコ先生と!からだこころ研究所 小学生と考える「性ってなに?」』高橋幸子 リトルモア
…昨年出版された本です。他の本と同じように思春期の体の変化や悩みはもちろん、大人がどのように説明していいか悩む性のルールとマナーについて、そして、多様な性にも触れられています。

どれも大人が読んでも充分勉強になる本。どの本にも大人に向けてのあとがきが入ります。サッと本棚に忍ばせておいて、子どもが気になったときにいつでも読めるようにしておくと良いですね。

■思春期向け参考サイト・相談機関

セイシル 知ろう、話そう、性のモヤモヤ
…中高生が抱える性のモヤモヤに応えるwebメディア。ポップなイラストが可愛らしい! 質問への回答形式の記事や、会話形式で進む記事があって読みやすいのも特徴です。自分のモヤモヤを投稿することもできます。

#つながるBOOK
…性に関する悩みや相談をまとめた窓口サイト。恋愛やセックス、妊娠、性感染症など、性にまつわる情報が総合的にまとめられています。サイトからLINE相談もできますし、性暴力ならDV110番、妊娠だったら妊娠SOSなど、それぞれの悩みに合わせて専門家につながる連絡先が掲載されています。子どもにもわかりやすい言葉で書かれているのが◎。

SEXOLOGY
…スマホで読める性の教科書。身体や男女の性だけでなく、#つながるBOOK よりもさらに深く性を学べます。生殖に限らず人権や人間関係まで、国際セクシュアリティ教育ガイダンスに基づき、日本人向けに作られた独自のコンテンツが並びます。大人が読んでも読みごたえのあるサイトです。チャットでの相談が可能。

千葉県助産師会
…浦安助産師会の皆さんも所属している助産師会。平日10時~13時の間、妊娠・出産・育児・母乳・離乳食・避妊・思春期・更年期・不妊症など、様々な女性に関する健康問題や子育ての相談に応じています(TEL:080-5039-4720/平日10時~13時※祝日は休み)。

どの相談先も子ども本人からだけでなく、親からの相談も受け付けています。性のことってなかなか身近な人に相談しにくいですが、頼れる専門家につながる窓口がたくさんありますので、どうか一人で抱え込まずに相談してみましょう!

ちなみに浦安の小学校では、4年生で男女とも二次性徴(思春期の体の変化、月経・射精)について簡単に学びます。その後、女子は月経指導(男子の精通指導があるかは学校による)があります。5年生になると、浦安助産師会の皆さんが性教育の講演に学校へ行きます。コロナ以前は小(5年生以上)中高校生と赤ちゃんがふれ合う『赤ちゃんふれあい体験』という企画もあったそうですよ。

次回のテーマは『ジェンダー』

たくさんの親子、たくさんの赤ちゃん、たくさんの家族を見てきた助産師さん。だからこそ、「これはママやパパに知っておいて欲しい」「ここに気をつけてほしい」と思うことがあります。連載企画【助産師なんでも相談室】では、子育てや性にまつわる「これどうしよう…」を、助産師さんと一緒に考え、解決の糸口を探ります。

次回のテーマは、最近よく聞くワードでもある『ジェンダー』。多義的な概念であり性別に関する社会的規範と性差を指す…とされており、それだけ聞くと広すぎる概念に戸惑ってしまいますが、助産師さんたちと一緒に、身近な問題からジェンダーを考えていきたいと思います。「お母さんだから家事をやるの?」「男だから泣いちゃいけない?」…なんとなくモヤっとしていたことが、ジェンダーの考え方を知ることでちょっとすっきりするかもしれない、そんなジェンダー入門編。どうぞお楽しみに!

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