浦安ってこんな街!
7.212021
【助産師なんでも相談室 vol.1】母子の防災で気を付けておくべき点はココ!夏は災害シーズン、備えを今一度見直そう
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今年もまた、各地で豪雨の被害が出ています。災害大国日本においては絶対に安全な場所はなく、浦安とて例外ではありません。三方を海に囲まれた立地であり、10年前の3.11では液状化による甚大な被害を受けた浦安。浦安助産師会の皆さんにお伺いする【助産師なんでも相談室】今回のテーマは、『母子の防災』。実は助産師さんたち、防災がテーマの講演会で講師を努めることもありますし、防災訓練に参加することもあるのだそう。
今回は、佐野産婦人科(当代島)に勤務する増田さん(千葉県助産師会市川・浦安地区の地区長)・同じく佐野産婦人科に勤務する大江さん・すず助産院(北栄)を開業された來田さん・フリーで子育て支援や学校の講師を務める塩見さん、4名の助産師さんに、赤ちゃんや小さい子どもを抱えるお家の備えについて、詳しく伺いました!
【備え】小さい子はおんぶがマスト。慣れてない方は練習しておくのが◎
1.ハザードマップを確認
備えで大切なのは、まずは自分の住むエリアのハザードマップを確認しておくこと。浦安市のハザードマップは、こちらのリンクからご覧いただけます。これを見ると、元町エリアはかなりの範囲にわたって水害が予測されています。指定の避難所や、避難経路も一緒に確認しておくと良いでしょう。地震による震度の予測、液状化の危険度予測図はこちらから。
2.備蓄
3.11の際に大きな被害が出た液状化は、新町エリア・中町エリアに大きな被害をもたらしました。液状化により上下水道・ガス・電気が使えなくなることを想定し、水・ガス・最低3日分の家族分の食料、トイレ用の凝固剤を備蓄しておくことが大切です。アレルギー対応食は公助で受け取ることはできないので、アレルギーのある家族がいる場合は対応食を多めにストックしておきましょう。
3.家の中に、何も動かない・何も落ちてこない安全な場所を作る
地震の揺れによって家具が動かないよう、大きく重い家具・家電は固定すること。水害では畳などが浮いてドアが開かず、避難ができなくなってしまうこともあります。家の中に、何も動かない・何も落ちてこない安全な場所を作っておき、いざという時はそこに逃げ込めるようにしておくと安心です。
4.母子の避難はおんぶが◎。抱っこではなくおんぶを練習しておこう
水害時も震災時も、移動時にベビーカーはまず使えません。抱っこひもで抱っこをすると足元が見えなくなりますし、転んでしまった時に赤ちゃんの上に乗ってしまう可能性が高くとても危険。小さい子はおんぶし、避難用リュックは前か脇に持つのがベストです。普段から抱っこひもで抱っこばかり…というパパやママは、おんぶに慣れておくのが◎。簡単におんぶができ、授乳ケープにもお布団にもなる『おんぶもっこ』がオススメ!
【その時】母子は“要支援者”、決断は早めに!
台風や豪雨の場合、自治体から避難情報が出されます。警戒レベルは1~5とランク分けされていますが、赤ちゃんのいる世帯は“要支援者(高齢者や障がいのある人など、避難に時間のかかる人たち)”になるため、警戒レベル3での避難が推奨されます。避難して何もなければそれで良いので、怖いと思ったら早めに決断しましょう。
避難をする際は、必ず家に鍵をかけてから出ることも大切。災害時を狙った窃盗団が、家具や家電を持ち出すことも多々あるのだそう。
ただ現在はコロナ禍、災害の危険の少ない地域やマンション上層階に住むご家族は在宅避難が推奨されます。家で過ごすための備えを、今一度見直しておくと安心です。
【避難生活】災害時こそ、母乳育児を続けてほしい
避難所は決して安全ではない
災害が起こっても「避難所に行けば何とかなる」…確かに一時的に身を寄せることはできます。が、母子にとってそこで長く生活することは容易ではありません。赤ちゃんの泣き声で迷惑がかかるから…と外へ出たまま戻ってこれないママ、車中泊を選ぶママ。トイレは不衛生で暗く、レイプなど犯罪が起こることも。配給の水や食料も、子連れで並ぶのが難しく受け取れないということも多々あると言います。
避難所生活では母乳育児を諦めてしまうママも多いのですが、「ぜひ母乳育児は続けてほしい」と助産師さんたち。特に水害後は感染症が蔓延するなど不衛生な環境になりますが、母乳育児を続けることで罹患リスクが下がるのだそう。また、スキンシップによってママも赤ちゃんも精神的に落ち着くという効果もあります。
突然の災害に遭遇した時は、不安や心配で、一時的に母乳が減ることがあります。しかし、いつものように授乳を続けているうちに、また出るようになってきますので、ぜひ可能な限りの授乳を続けてください。液体ミルクは、未開封であれば長期保存ができ、いつでもどこでも飲ませることができるというメリットがあります。しかし、液体ミルクに頼りすぎると母乳が出にくくなることもあります。また、一度開封した液体ミルクは保存が効きません。液体ミルクのメリットや注意点を理解した上で活用しましょう。
千葉県助産師会では、助産師さんが避難所へ母子の支援に入れるよう、市町村と協定を結び始めているのだそうです。最初の3日間でママたちのケアをすることで不安を取り除き、災害時もふだん暮らしている場所で生活ができるように支援してくれます。浦安市とも協定を締結しているそうなので、これから浦安市と話し合いを行ない、仕組みを整えていくとのこと。そうなればより安心できるので、ぜひ早めに実現してほしいです…!
最初の3日を耐えれば、なんとかなる!
災害後、家にいられる状態であるならば、在宅避難が◎。家で充分に避難生活が送れるように備えが必要です。「3日耐えればなんとかなる!」のが通例とのこと、3日分の水・食料・トイレの備蓄を今一度見直しておきましょう!
【片付け】水害では汚物が地上に出てくる。子どもには絶対触らせないように
水害で水が引いた後にやってくる片付け。ガラスの破片や瓦礫・ごみだけでなく、汚物も混ざって押し寄せてくるため、水が引いた後も様々な雑菌や有毒物質の温床となっています。片付けをする際はマスク・長袖・長ズボンの着用など、絶対にケガをしないような対策が必要です。水害後の家屋の消毒には『オスバン液』が有効です。浸水の危険のあるエリアに住んでいる方は用意しておくと◎。
水害の後片付けを中学生以下の子どもに手伝わせるのは絶対にNG。水害後の汚泥には、大腸菌やサルモネラ菌などの細菌や化学物質など有毒物質が含まれています。ケガをしないよう注意することも難しいですし、子どもはそのような有毒物や細菌に弱いため、「手伝いたい!」と言っても被災地周辺には立ち入らせないほうが無難です。
災害時、母子は取り残されることが多い。孤立しないために、普段から地域のつながりをつくっておくことが大切
今回お話を聞いた助産師さんたちは、浦安で子育て中、2011年の東日本大震災を経験された方ばかり。当時の混乱や避難経験を振り返りながらお話をお伺いする中で印象的だったのが、『母子が取り残された』という状況です。
浦安は未就学児を持つ世帯の9割が核家族。転勤で転入してくる世帯も多く、自治会へ未加入の世帯や、地域とのつながりを持たない世帯もあります。「東日本大震災の時には、民生委員さんでさえ、地域と交流がない家庭の母子がどんな状況か把握できていないことも多々あったようです。自治会に未加入だと、支援物資の配給が遅れることもある。災害時、地域から孤立してしまっている子育て中の家族をどう支えるか、これは今後も大きなか課題だと思います」と來田さん。
「我が家はマンションの上層階なのですが、停電でエレベーターが止まってしまって。下まで水をとりに行くのに、当時2歳の子どもを抱えて階段を降り、20ℓの水と子ども抱えて階段を上るのは本当に大変でした。子どもがいなければ1回で40ℓ運べるけれど、40ℓ運ぶのに子ども連れて20ℓを2往復しないといけなくて…」と塩見さん。「私は下の子が生まれたばかりでした。水が使えない状況に耐えらえず、葛西のビジネスホテルに長期間滞在しました」と大江さん。
「お母さんたちって若いし体も丈夫だから、普通に動けると思われて支援が後回しになってしまいがち。でも実際、子どもがいると配給の行列に並べなかったり、思うように動けないことも多いんです。そして災害が起きると、スーパーやホームセンターから食料やトイレットペーパーが一斉に無くなります。私も3.11のときはご近所さんと物々交換をしたりしてなんとかしのぎました。災害時に取り残されないよう、ふだんから困ったときに助け合えるご近所づきあいをしておくことが本当に大切です」と増田さん。
コロナ禍とあって、自治会主催のお祭りなどご近所と交流する機会が随分減ってしまっている現状ではありますが、たとえばゴミ出しのときに顔を合わせたら挨拶をする、エレベーターで一緒になったら話しかけてみる…など、ちょっと勇気を出してみるといいかもしれません。いきなり仲良しにならなくても、ちょっと顔見知りがいるだけで全然違うはず。助産師会の皆さん、ありがとうございました!
次回のテーマは『性教育~幼児編~』をお届け予定です
たくさんの親子、たくさんの赤ちゃん、たくさんの家族を見てきた助産師さん。だからこそ、「これはママやパパに知っておいて欲しい」「ここに気をつけてほしい」と思うことがあります。連載企画【助産師なんでも相談室】では、子育てや性にまつわる「これどうしよう…」を、助産師さんと一緒に考え、解決の糸口を探ります。
次回は『性教育~幼児編~』を予定。「性教育は人権教育」「2歳からはじめる性教育」「今の大人にこそ性教育が必要」…等々、いろんな話は聞くけれど一体何を教えたらいいの? そして究極の質問「赤ちゃんはどうやって生まれるの?」と聞かれたときに、一体どう答えたらいいのか教えてほしい(切実)! 子どもを持つパパママだけでなく、今を生きる一人ひとりに知ってほしい『性教育』、ぜひご期待ください!
【助産師なんでも相談室 バックナンバー】
vo.0/妊娠・出産だけじゃない、 女性を生涯にわたってサポートするお仕事『助産師』。そんな助産師さんたちの集まり『浦安助産師会』を取材しました!
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