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当代島『カンロ伊織』のパンは、“安心“して食べられて“美味しい”だけじゃなかった! 秘密は、“お店作り”にありました。【浦安マタニティライフ】

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「安心して食べられる、健康になるパンを」――その想いから開店し、3月に4周年を迎えた当代島のパン屋『カンロ伊織』さん。この【浦安マタニティライフ】の連載を決めてからというもの、絶対に取材したい!と思っていたお店のひとつです。妊婦さんや小さな子どもたち…老若男女が安心して食べられるパン作りについてお伺いする中で感じたのは、『“安心”して食べられて“美味しい”だけじゃない、カンロのお店の魅力』でした。

安心して食べられるものが少ない。なら、作ろう

「毎日パン職人としてパンを作る中で、ずっと美味しいものを作ればいいと思っていました。それが2005年頃、天然酵母のパン屋で働き始めたことをキッカケに、食品添加物や着色料などの危険性について知ったんです」。話してくれたのは、『カンロ伊織』店主の吉野さん。勉強を深めていくうちに、「ちゃんとしたものを出しているお店」が意外と少ないことに衝撃を受けたと言います。

「食べると大体わかるんですよ。ああ、これはあの添加物使ってるな、この色は着色料だな、とか。安全・安心を売りにしているお店でも、中にはそうでない品物が混じっていたりして…。だから、ちゃんとしたものを出せるお店にしよう、と思いました」。

パンを作る素材の主なものは、小麦・塩・水・酵母。カンロさんのパンは、小麦は国産小麦をパンの種類に合わせてブレンド、塩はモンゴルの塩湖で採れるミネラルが豊富な天日湖塩、水は天然水、そして酵母は有機レーズンから手作りしている!というから驚きです。「酵母を作ること自体はそんなに大変じゃないんです。難しいのは、発酵を見極めること。季節や気温・湿度によっても違って、発酵しすぎてもしすぎなくてもパンが膨らまなかったり、美味しくなくなってしまったり…。毎日発酵具合に注意しながら、パン作りをしていますね」。

ちらっと見せていただいたこちらが、自家製のレーズン酵母。匂いをかぐと、確かにレーズン! フルーティな香りがします。他にもりんごや野草、米などからも酵母は作れるのだそう。「イースト菌というのは、パン作りに適した菌を集めて作った菌のこと。対するこのレーズン酵母のような天然酵母は、パン作りに良い菌もそうでない菌も一緒に混じっています。天然酵母の扱いは難しいのですが、だからこそパンにしたときに風味が出るというか、味わいが複雑になるんです」。


総菜パンにも、もちろん手を抜きません。「サンドイッチや総菜パンで使われているハムやソーセージやカレーなど、パン業界では副材料と呼ばれているもの。こういった副材料は他のところから仕入れているパン屋さんがほとんどです。安心・安全を売りにしているパン屋さんでも、副材料に含まれる添加物までは考えていないところが多い。カンロでは、ハムやソーセージ等の加工肉は無添加にこだわっている山形の『しんけん工房』さんから仕入れ、コロッケなどはお店で手作りしています」。米油でサックリと揚げたコロッケパンはお客様からも好評で、ファンが多いのだとか!

乳製品を使わないパンが多いのもカンロさんの特徴です。「バターは米油、卵は豆腐、牛乳は豆乳…など、代用できるところは代用しています。食パンに使っているのは、小麦・塩・水・酵母・米油だけなんですよ」と吉野さん。まだお店を始める前、奥様が妊娠中だったころ、バターの入っていない食パンを探したのですがどこにも無く、ご自身で作ったのがカンロ食パンのキッカケなのだそう。

この食パン、私も大ファンなのですが、5種類の素材だけで作られたとは思えぬ深い味わいなんです…! 中がギュッと詰まっていて、小麦粉の甘味とほのかな酸味(これはおそらくレーズン酵母の風味)、そのままでも美味しいけれど、トーストすると何とも言えぬ幸せな香りが漂う食パン。ああ、食べたくなってきた…。

 
吉野さんが素材を選ぶときに大切にしているのは、『国産』『オーガニック』『地産地消(同じものなら、より近くから)』。そして『信頼できる方から買うこと』。「添加物や保存料以外にも、残留農薬だったり遺伝子組み換えだったり、食の安全は突き詰めるとキリがありません。だからこそ、なるべく安全なものを、信頼できる方から仕入れるということを徹底しています」。 

パンを売るだけではない、お店づくりの秘密

取材中にも、妊婦さんや小さい子連れのママが立ち寄り、パンを買われていきました。すぐそばに病院があるせいか、妊婦さんも多く訪れるというカンロさん。他にも近所にお住まいの年配の方やサラリーマンなど、お客様は老若男女幅広いそうです。お客様をお迎えするときの言葉は、「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」。奥の厨房で作業をしているスタッフさんからも元気な声が聞こえてきます。そして、お買い物を終えて帰られるお客様は、必ず扉の外までお見送り。…パン屋さんでこんな丁寧な接客、見たことありません。

「誤解を恐れずに言えば、パンが美味しいというのは、パン屋である以上当たり前のことだと思っているんです」と吉野さん。「カンロは『心と体にやさしいお店』を目指しています。私たちの体は食べたもので作られますから、パンが体にやさしいものであること。そして心も穏やかになっていただくために、お客様への応対やご挨拶は、スタッフ全員で大切にしています」。

そのために、お店の休業日にはスタッフ全員で勉強会を開催しているのだそう。「最初勉強会があるって聞いたときに、よくテレビで見るような、一列に並んで『いらっしゃいませ! ありがとうございました!!』…みたいなものを想像して(笑)。そんなことやるんだ!?とビックリしたんです」と笑う、スタッフの大濱さん。実際はそうではなく、先生を呼んで『心構え』や『どんな気持ちを持ったら良いか』を、みんなで勉強する場なのだと言います。「パンを売るだけではなく、お客様を大切に思うこと。お客様をお見送りする最後の瞬間まで心を込めること。先生から『こうしなさい』という指導があるわけではないんです。カンロの日常の雰囲気を大切に、お店づくりの一環として心構えを考える…という感じでしょうか。一般的な勉強会のイメージとは違いますよね」。

右から店主の吉野さん、スタッフの大濱さん、吉野さんの奥様であるひじりさん。皆さんとっても笑顔がステキなんです!

オーナーである吉野さん夫妻の『これを大切にしたい』『こういうお店にしたい』という想いを、改めてスタッフ全員で共有する場でもあるという勉強会。「日々パン屋として店頭に立っていてもお二人から感じ取ることはできますが、改めて言葉にして伝えてもらうことで、よりお二人の想いを理解して、スタッフの一人としてカンロらしさを形にしていくことができるんです」。大濱さんの言葉の端々からも声のトーンからも、にじみ出る“カンロらしさ”を感じずにはいられません。

“幸せになるパン屋”って、このことか!

「お店って、中で働いている人がどんな気持ちかで雰囲気が変わるんです。働いている人が幸せだと、お店からも、商品であるパンからも、きっとその雰囲気が伝わるんじゃないかなと思っています」。その吉野さんの言葉を聞いて、私は突然腑に落ちました。木の温もりに包まれた内装、手書きの文字、体にやさしいパン、スタッフ皆さんの纏う雰囲気、『カンロ』という言葉の響きにまで…このお店には、“幸せ”があふれているんだな、と。だからカンロに来るとこんなにやさしく、柔らかく、穏やかな、満ち足りた気持ちになれるんだ、と。

パンを買いに来るだけでもそんな雰囲気に触れられますが、オススメしたいのはイートイン。カンロさんには、大きな窓を背にしたイートイン席があります。

焼き立てパンの香りに包まれて、接客しているスタッフさんの柔らかな声をBGMに、温めてもらったやさしい味わいのパンをいただく――そんな至福のひとときが過ごせます。私も先日初体験したのですが、パン屋さんでのイートインがこんなに心地良いと思ったのは初めてでした。胎教にも良さそう!

ちなみに取材当日、購入して持ち帰ったのはこちら。翌日の朝食にいただきました。

大好きな食パン、バニラカンロ、そして豆ぱんです。あんぱんも好きなのですがこの日は売り切れでした。残念、また次回!

当代島のパン屋『カンロ伊織』は、今日もお客様で賑わっています。「安心して食べられるパン」、そして「カンロというお店に足を運ぶこと」が、たくさんの方の心と体の栄養になっているからに他なりません。


カンロ伊織…浦安市当代島3-3-28 047-314-8355  11:00~17:00
日曜定休(祝日営業、他臨時休業あり) Instagramホームページ

 

【浦安マタニティライフ】の連載では、筆者が浦安で見つけたマタニティに嬉しいモノやサービスをご紹介していきます。乞うご期待!

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