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浦安ってこんな街!

近い将来、食卓から魚が消える日が来てしまうかも?!そうならない為に私達が出来ること…「魚、食べよう!」

「回転寿司からサカナが消える日」…こんな衝撃的なタイトルの本が今年7月に出版されました。著者は、浦安育ち・浦安在住の小平桃郎(おだいら ももお)さん。浦安にアルゼンチン赤海老を輸入する貿易商社を立ち上げ輸入販売を行う一方で、水産アナリストとしても活躍されています。

サカナが消えるってどういうこと?桃郎さんってどんな人なの??取材をさせていただきました!

スペイン語は話せない、海外生活も未経験!単身アルゼンチンへ渡ってアルバイト生活。

アルゼンチン赤海老って知ってます?僕これ、ほぼ毎日食べているんですよ」桃郎さんのInstagramを見ると、美味しそうな料理の写真がいっぱい!この料理、全て桃郎さんが作っていて、しかもアルゼンチン赤海老を使用しているというから驚きです。

桃郎さんInstagramより

日本でよく見かける海老は火を通すと赤くなるものがほとんどですが、アルゼンチン赤海老は元々キレイな赤い色。大ぶりでぷりぷりっとした食感は高級海老にも引けを取らず、日本への輸入も増えています。
「毎日食べて料理を載せていたら、アルゼンチン赤海老の第一人者になれるかなと思って(笑)。レシピを教えてとインスタにDMが来ることもありますよ」

そんな桃郎さんとアルゼンチン赤海老との出会いのきっかけは、桃郎さんの就職活動時代まで遡ります。

「大学卒業後にテレビ局に勤めてADをやっていたのですが、思い描いていたテレビの世界と現実のギャップに失望し、半年くらいで辞めちゃったんです。そしたら両親から叱咤を受けて…『実家暮らしで何不自由ない生活をしているからすぐ辞めてしまうんだ!アルゼンチンで修行してこい!』と言われ、単身アルゼンチンに行くことになりました」

え?!突然?海外暮らしの経験はあったんですか??
全く無しです(笑)。言葉も日本語しか喋れませんでした。でも何とかなるもんで!向こうではイカ釣り船を操業して日本向けにイカやエビを輸出する会社でアルバイトをして、半年のつもりが気付けば2年半くらい働いていました」

なんだかもう衝撃的すぎて、言葉が出てきません!
「南米の雰囲気が合っていたんですよね。このまま働き続けてもいいかなと思っていたのですが、このままだと世捨て人になっちゃうかもと感じて、日本に帰国しました」

アルゼンチン ブエノスアイレスの街並み

帰国後は水産商社へ入社し、アルゼンチン赤海老の担当になり、さらに大手水産会社へと転職に成功した桃郎さん。

「公用語のスペイン語を話すことができ、アルゼンチンで働いていて現地のことを分かっていたこともあったので、アルゼンチン赤海老を担当しました。水産会社では6年、専門商社時代と合わせると15年以上勉強させていただき、その時年齢は40歳過ぎ。このままでいいのか、後悔するくらいならやってみよう!ということで、独立し貿易会社を立ち上げました」

周りも驚く行動力と持ち前の“なんとかなる!”精神で、努めていた水産会社を退社し「水産貿易商社タンゴネロ」を設立。現在は、主にアルゼンチン赤海老の輸入をされています。

日本を取り巻く水産業に危機感。このままでは日本の食卓から魚が消えるかもしれない…?!

「気付けば20年以上、水産業に関わって生活をしていますが、今、日本の水産業は過去に無い大きな変化を迎えていると感じています。
水産大国と言われていた日本ですが、漁業・養殖業生産量は6割減、漁業就職者数も6割減、一人当たりの食用魚介類の消費量は4割減とネガティブな統計ばかり。更にコロナ禍やロシアのウクライナ侵攻で輸送料の値上げ、コンテナ不足等が起こり、輸入にもコストがかかるようになりました」

「アルゼンチン赤海老の輸入をすることで知ったのが、『日本に売るのは大変だ!』ということです。まず仕入れから輸入、入金までの手続きが複雑でお金が入るまで時間がかかること。また、品質やサイズの基準が厳しい割に他国に比べて少量しか買ってくれないこと。そんな条件が揃ってしまうと、売る側は『もっと大量に高く買ってくれてお金を早く払ってくれる人』に流れてしまいますよね。それが今、中国やアメリカ、ヨーロッパなんです。海老に限らず、最近ではサーモンやイカ、マグロやサバなどもその傾向にあって、このままだと他の魚でも日本はどんどん買い負けてしまうかもしれません

買い負けてしまうと輸入量が減ってしまう。入ってくるものが少なくなり食材の確保が難しいのもあって、値上がりが進んでいるのですね。

「そうなんです。その影響を受けている身近な例で言えば、回転寿司チェーンの値上げですよね。100円寿司が今はほとんどが150円〜200円に値上がりしています。世界的な物価高の影響はもちろんですが、先ほど言った買い負け、水産物加工を行う海外の工場の人件費高騰も原因です。

こう言った日本を取り巻く水産業界の状況は、このままにしているとますます危機的な状況になると思います。そして、いつか回転寿司から寿司ネタが消えてしまう…というわけです」

本の中では、サーモンが100円で売れなくなった理由が書かれていました。今まで100円で食べていたものが150円になり、なんだかちょっと手を伸ばすのを躊躇う気持ちがありましたが(たかが50円、されど50円…!)、本を読みその理由に納得。逆に今までよく100円で食べられていたな…と今までがおかしかったのかも?と思うほどでした。そんな状況を打破するために、私たちができることって、ないのでしょうか?

魚を食べる!これにつきます。回転寿司に行った時は、いつもと違うネタを1皿でも多く食べるだけでもOK。みんながそれをするだけでも日本の水産物の消費は回り、大きく変化する一歩になると思います。魚、食べましょう!!」

「アルゼンチン赤海老から始まり、経験の中で疑問に思ったことなどを調べて執筆活動をしていたら出版社の目に留まり、今回の『回転寿司からサカナが消える日』出版に繋がりました。これからも日本の人たちがもっと魚を食べてくれるように、働きかけて行きたいです」

水産貿易会社タンゴネロは、自宅を事務所にした桃郎さんお一人の会社。タンゴネロの意味を伺うと「アルゼンチンの言葉で『海老釣り船』という意味です」と桃郎さん。まさに、新たな海に舵を切った“船出”という感じですね!

「沈没船にならないように頑張らないと(笑)。当面の目標は個別の事務所を構えること、来年の三社祭で提灯を奉納すること!」と笑います。そして、いつか浦安の飲食店さんにもアルゼンチン赤海老を卸したいとお話してくれました。

四方を海に囲まれ、水産資源は豊富な国だと思っていた日本ですが、実はそうではなかった…!という事実を知り、驚きと衝撃が走りました。もしも今日の夕ご飯の献立に迷ったら「魚」という選択をしてみませんか?みんなが大好きな回転寿司から魚が消えてしまう…そんな悲しい現実にならないように、

魚、食べましょう!!

■回転寿司からサカナが消える日
本の中では、回転寿司チェーン店の値上げラッシュが起きている背景や、国内で水揚げされたサカナが海外で加工され逆輸入されている実態、魚を取り巻く世界情勢等が詳しく説明されています。ぜひ、読んでみてください!

著者:小平桃郎(おだいら ももお)
1979年生まれ。東京・築地の魚市場に務める父の姿を見て育つ。大学卒業後、テレビ局ADを経て単身アルゼンチンへ渡る。現地のイカ釣り漁船会社で働きながら、日本向け検品やアテンド業務を担当。2005年に帰国し、輸入商社を経て大手水産会社に勤務。2021年に退職し、水産貿易会社タンゴネロを設立。水産アナリストとして週刊誌や経済メディア、テレビなどに寄稿・コメントなども行っている。

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