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フラワー通りにある『浦安の小さなギャラリー どんぐりころころ』が、なんと40周年! 作家と作品とたくさんのご縁、どんぐりころころの“紡いできたもの”が並ぶ常設展が開催中です

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堀江フラワー通り沿いにある『浦安の小さなギャラリー どんぐりころころ』。服にうつわにアクセサリー、絵画に版画に造形…多様な技術を持った作家の手仕事に出会える、貴重なギャラリーです。実は『どんぐりころころ』さん、今年でなんと40周年を迎えられました! 今、その40周年を記念して『40th anniversary 1982年から紡いできたもの』という展示会が開催中。「エプロンしてサンダル履きで良いものが見たい」という店主の思いから始まった『どんぐりころころ』、その“紡いできたもの”を見に行ってきました。

40周年記念展示は、たくさんの作家の作品が一堂に会する常設展

「もともと40周年なんてやるつもりなかったのだけど、降って沸いたというか…せっかくだからやろうということになって。それで、この40年を何か一言で表せないかな、と1か月近く考えたんです。それで出てきたのが、“紡ぐ”だったの」。40周年展示会のハガキを手に取りながら、噛みしめるように話してくださった龍木さん。ハガキのデザインは、長いお付き合いをしている画家であり舞踏家のタチさんが手がけました。

“紡ぐ”という言葉は、糸を作る工程で使われます。私自身は糸を紡いだことはありませんが、紡ぐという言葉には、生み出しながらもどこか自然の流れに身を任せる…といったような響きを含む気がします。“繋ぐ”だと、自分の「こうしたい!」という思いがちょっと強い感じ。“紡ぐ”という言葉から、どんぐりころころという場所の在り方が感じられます。

展示会『40th anniversary 1982年から紡いできたもの』は、特定の作家の展示会ではなく、どんぐりころころの所蔵作品が一同に会する常設展。ギャラリーの空間いっぱいに、個性豊かな作家たちの手によるうつわや服やアクセサリーが並び、絵画や美しい布が壁を彩ります。そして所々に顔を出すのは鬼さんたち。

「毎年節分のころは、鬼を意識して鬼たちを出すんです」と龍木さん、歴代の『鬼と遊ぶ展』の葉書も見せてくれました。参加した作家さんのお名前を拝見すると、どんぐりさんでよく展示会をしている作家さんがズラリと並んでいて、そうそうたるメンバー…!

紡いできた作家との縁と、作家同士の縁

今までにここで展示をした作家さんの数は、ゆうに100を超えると言います。「若いころからずーっとお付き合いのある方、多方面で活躍している方もいれば、作品づくりをやめたり連絡がとれなくなったり、亡くなった作家もいます。最近20年ぶりの作家がふらっと来てくれて、表の扉のところにイラストを描いてくれたの。ご縁ってあるのね」

長年の縁を育むのはもちろん、新しい作家を探すことも大切にされている龍木さん。他のギャラリーや展示会へ足を運び、その時出会ったものをポンと購入することも多々あるのだそう。「作品が良くても、作家の人柄がどんぐりに合うか合わないか。人から入ることのほうが多いです。作家はどんどん変化していくから、ベタッとしたお付き合いではなく、お互いの居心地の良い距離感をこれからも大切にしていきたいなと思います」

他のギャラリーに比べ、作家同士の交流が盛んだというどんぐりさん。確かに、二人展や三人展などのコラボ企画もよく開催されています。「他の作家の作品を見て、あれこれ批評するだけじゃダメ。他の作家の作品を買って、自分で使ってみてって、作家にはそう話すんですよ」と龍木さん。それもあってか、どんぐりさんで開催される展示会では、お客様として訪れた作家さんにお会いすることもよくあります。そこから交流が生まれ、新たな展示会が生まれ、新しい作品が生まれていく…どんぐりころころが縁を紡いで、新しいコトやモノが誕生するんですね。「そうは言っても、昔は私も作家とトラブルになったこともあったの。若いころはね。花火が上がって火の粉がかかるような。今はみんな年齢も上がって落ち着いて、こうしてゆったりできるようになりました」。そう語る龍木さんの柔らかな笑顔。たくさんの作家の成長を見守り、世に羽ばたかせてきたどんぐりころころの懐の深さに、思いを馳せます。

コロナ禍の混乱も、そのまま“紡ぐ”

この2年はコロナ禍で、思うように展示会を開催することができませんでした。「地方の作家がここに来られなくて…。作品を送ってもらうことはできるけれど、本人がなかなか来られないでしょう。作家も会いたい人に会えない、お客様も会いたい作家に会えない。そんな状態が続いています」。そのためにいくつの展示会が中止になったかわからない、と龍木さん。「でも良いこともあったのよ。普段は都内のギャラリーに足を運ぶ浦安の方たちが、『市内にもギャラリーがあったんだ』って見つけてくださったり、浦安や市川・江戸川、近隣の作家たちが展示会を開催したり、遠方で来られない作家の展示会のときにも支えてくれたり。近所の作家との新たな出会いもたくさんありました。少し角度を変えてものを見られるキッカケになった気がします」。コロナ禍によって、またちょっと違った形になったどんぐりころころ。それもまた、“紡いできたもの”の結果でもあります。

40周年記念で作られたこちらのしおり。20年ほど前に手に入れたというネパールのイラクサ(麻)を紡いだ糸を、龍木さんご自身が編んで、越後の『門出和紙』に結んだものです。どんぐりのハンコが押されてとっても可愛らしい。“紡ぐ”という言葉にかけて様々な思いを形にした、どんぐりらしさの溢れるしおりです。

取材をしていると、「コーヒーでもいかが?」と運んでくださいました。使っているカップもコースターも作家のもの。

ちょっと話は逸れますが、それこそ私もどんぐりさんで出会った方と取材までつながったことも多々。『どんぐりころころ』はギャラリーというモノと人が出会う場でありながら、人と人の出会いの場・交流の場でもあるということを、身をもって実感しています。…もしかすると、私も紡がれていたのかも?

40周年記念展は3月上旬まで。ぜひ気軽に立ち寄ってみて!

「どんぐりは“舞台”。これからも、いろんな人にスポットを当てていきたい」と龍木さん。今は40周年常設展を開催中ですが、会期の中でも少しずつ模様替えをしながら、景色を変えながらいろんなものを展示する予定だそう。考えている展示のお話をしてくださる龍木さんはとても楽しそうで、「2月はこの空間を絵でいっぱいにしたいと思っているの」と、いたずらっ子のような笑顔。

店主の龍木栄(りゅうきさかえ)さん。柔らかな眼差しと穏やかな語り口で、本当に時間を忘れてお話を楽しみたくなります。手に持っているのが、40周年記念のしおりに使ったネパールのイラクサ。

「作品ってその時の自分の気持ちや心情で、全然見え方が違うの。いいなと思うもの、目に飛び込んでくるものも違う。こうしていろんなものを並べて、必要なものに出会ってもらえたら嬉しいです」。ギャラリーというと、行ったら必ず何か買わなきゃ…と思われる方もいるかもしれませんが、見るだけでもぜひ来てほしい!と龍木さんは話します。「それこそ私がここをオープンさせたときにのように、エプロンしたままサンダル履きで、お惣菜を見るくらいの気持ちでいらしてくださいね」

40年の時をかけ、どんぐりころころの紡いできたもの、作家と作品とたくさんのご縁。その集大成を見ることができる『40th anniversary 1982年から紡いできたもの』は、3月12日(土)まで開催中です。元町さんぽのついでに、お向かいの『そば処 天哲』さんでお昼ごはんの後に…ふらりと立ち寄ってみてはいかがでしょうか? 作品との出会い、人との出会い、思いがけない縁が生まれるかもしれません。

浦安の小さなギャラリー どんぐりころころ…浦安市堀江3-2-10 080-5003-0778
『40th anniversary 1982年から紡いできたもの』…~3月12日(土)まで。毎週水曜~土曜、13時~18時

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