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浦安ってこんな街!

この夏は、漁師町だった浦安へタイムトラベルしませんか? 浦安で行なわれていた208もの漁法をまとめた報告書が、郷土博物館より刊行されました!

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この夏、何をしますか? あんまりお出かけする気分じゃないな~というアナタ、Go to『昔の浦安』なんていうのはいかがでしょう? 先月、浦安市郷土博物館より『浦安の漁撈用具3』という報告書が刊行されました。江戸時代~漁業権放棄までに浦安で行なわれていた漁法一覧や、浦安の海苔網について、そして浦安の延縄についての報告がなされています。読めば読むほど当時の『漁師町・浦安』の暮らしがありありと浮かぶ、そんな報告書です。その内容、ならびに中心となって報告書をまとめられた『漁村文化研究会』メンバーの皆さまにもお話をお伺いしてきました!

浦安では、なんと208もの漁法で魚が獲られていた!


大消費地・江戸(東京)への食材供給地として、重要な位置を占めていた浦安の漁業。今回、改めて漁具や聞き取り調査記録を検証し、こちらの報告書に漁法一覧としてまとめられています。それによりますと、浦安の漁法はなんと208種類! 同じ三番瀬を漁場とする船橋で確認されている漁法は146種というから、浦安の漁業のバリエーションの豊かさ、効率よく新鮮な魚を獲るための漁師さんたちの工夫が垣間見られます。「浦安で獲れた新鮮な魚が、そのまま江戸・東京へ輸送され、寿司や天ぷらをはじめとした江戸前の食文化の発展を支えてきたことがわかります」と浦安市郷土博物館の学芸員さん。


漁法の説明にはわかりやすいように図が入り、獲れた魚の説明もあるので、一覧表と照らし合わせながら見てみると想像しやすいです。

スズキにクロダイ、ウナギ、カレイ、シラウオ、アサリにハマグリにバカガイ、ハゼ、ワタリガニまで(!)、 このあたりで獲れたとは! 今でこそディズニーの街、東京のベッドタウンとしての印象の強い浦安ですが、食の宝庫だったことが伺えます。


一覧表の後には、天ぷらとお寿司のタネのお話が続きます。これは読んでいるとお腹が空いてくるページ…。こうした食文化を支えたのが、浦安の漁師さんたちだったのですね。

遡ること49年前。漁業権を放棄したばかりの浦安を、東邦大学の学生たちが訪れた

こちらの報告書をまとめたのは、学芸員と『漁村文化研究会』の皆さま。左から、『漁村文化研究会』の西野洋一さん・会長の栗山尭男さん・中西一善さんです。

昨年、千葉県文化財保護功労者として表彰されました!

『漁村文化研究会』の活動は、1971年に遡ります。当時東邦大学(習志野市)の学生や卒業生だった皆さんに、非常勤講師の先生から「今年、浦安町では漁業権を放棄したので、浦安の街は大きく変遷し、漁業に関する文化はどんどん失われていくだろう。せっかく同じ千葉県内にあるのだから、この機会に県内の浦安や外房の漁村の漁の実態について調査をしてみないか」と話がありました。「当時は学生運動が盛んで、授業はほとんどやっていなくてね。仲の良い先生のところに入り浸ってお茶したり、飲みに行ったりしていました。時間はあったから、一度みんなで浦安へ行ってみようかという話になって。実際行ってみたら、トラックがベカ舟を山のように積んで運び出していたり、漁に使用していたであろう網がゴミのごとく積まれていたり…まさに今、漁業権を放棄したばかりの漁村の様子を目の当たりにして、今記録として残さなければいけないんだという危機感をひしひしと感じたんです」と、会長の栗山さん。これが『東邦大学漁村問題調査研究自主ゼミナール』通称『漁研ゼミ』の始まりでした。

それから『漁研ゼミ』の皆さんは地元の老人クラブや漁師さんを訪ね、漁具・漁法を中心に地道な聞き取りを開始。浦安だけでなく、一宮や外川など、県内別地域の漁村へも出向きました。「道具があって、使い方の説明があれば、何も知らない人が見ても『こうやって使っていたんだな』とわかる。そういう記録を残していこうと思いました」。

「残さなければ!という使命感もあるけど、男の子っていろいろ集めるのが好きでしょう、その延長ですよ」と笑う、西野さん。

漁師さんたちの思いや工夫のつまった漁具・漁法を、後世へ伝えていく

『漁研ゼミ』主要メンバーが卒業し、それぞれが仕事や家庭を持つ中でも、月に1・2度は集まって調査研究を続けていたのだそうです。「卒業したら、集めた漁具を置いておく場所がなくなっちゃってね…。それぞれの伝手で勤務先の高校の空き教室に置いたり、子どもの通っていた小学校の空き教室を使わせてもらったり、大阪の国立民族学博物館に送ったり、いろいろしていたんですが、さすがに持ちきれなくなってしまって。そんな時、ちょうど浦安で郷土博物館が出来上がるという話が出て、集めた資料一式を寄託するということになったんです」。

将来的には寄贈するという形での寄託(預かり)。『漁研ゼミ』改め『漁村文化研究会』で12年の歳月をかけて目録を作成し、平成28年度に漁撈コレクション650点を博物館へ寄贈します。続いて平成29年・30年に報告書を刊行、今回はその集大成としての3冊目の報告書になります。

調査を開始した1971年から、実に49年の月日が流れています。これだけ長い間、同じテーマで研究を続けて来られたその情熱は、一体どこから来るのでしょうか。「情熱というよりは…調査を始めて約50年、お話を聞かせていただいた方の中には亡くなられた方も多い。話を聞きたいと訪ねると、皆さんとっても嬉しそうにいろいろな話を聞かせてくださったんです。そういう方たちの語ってくださったことを、後の世代にも伝えていかなければという思いですね」と中西さん。亡くなった漁師さんたちが『漁村文化研究会』の皆さんに託した、浦安伝統の漁法や漁具。報告書3冊をもってしても、まだ日の目を見ていない情報もあると言います。今後も機会を見て、報告書の形にまとめていきたいと話してくださいました。

報告書は博物館内ミュージアムショップ、市内図書館でもご覧いただけます!


郷土博物館では、入館時のマスク着用・消毒・名前と連絡先の記入などの感染防止対策を取られています。落ち着いたら、ぜひ『漁村文化研究会』の皆さまが集めた漁撈用具についての展示を見てみたい…!

報告書は博物館入って右手側にあるミュージアムショップでお買い求めいただけるほか、市内の図書館各分館にも配架されています。

漁師町だったころの浦安を旅することができる報告書、ぜひ手に取って見てくださいね! 

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