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浦安ってこんな街!

農地を持たない浦安。だからこそ一人ひとりが農山村の暮らしに思いを馳せ、”考える消費者”になろう! 山と川に囲まれた山梨県小菅村と浦安の、ちょっとイイ話。

野菜やお米は農家さんがつくっている…と頭ではわかっていても、スーパーで食材を選ぶときや食事のときに、生産者さんまで想像を巡らせることってなかなか難しいですよね。危機に瀕していると叫ばれる日本の農業、そして全国の自治体で唯一、農地を持たない浦安市。浦安にいる私たちができることは何なのか、そのヒントになりそうな取り組みを、北栄の『天ぷら 天悟』さんでお伺いしてきました。

浦安の暮らしを守るには、農山村が元気であることが必要不可欠


浦安には田んぼや畑がなく、一次産業がない。大学で農業や地域について学ぶうちに、浦安って人しか資源がない町だということに気が付いて、怖くなったんです」。そう話すのは、子どものころから浦安にお住まいで、東京農業大学(世田谷区)で非常勤講師を務める矢野加奈子さん。「たとえば2011年の東日本大震災のような有事の際、物資の流通が途絶えたら、一番困るのは田んぼも畑もなくて大勢の人が住んでいる都市部。浦安市も例外ではありません。もちろん私たちがふだんから口にする野菜やお米を作っているのは農山村ですから、農山村に元気でいてもらわないと、食べ物に困ることになってしまう。農山村地域とつながり、応援し、できるだけ長く農業を続けてもらうことは、農山村地域の当事者だけでなく、私たち都市部の生活者にとっても必要なことなんです」。住民を巻き込んだワークショップの手法について研究し、ご自身も様々な現場でファシリテーターやコーディネーターとして活動されている矢野さん。矢野さんが関わる農大の人材育成プロジェクト『多摩川源流大学』では、学生に現場を知ってもらうため、多摩川源流域に位置する山梨県小菅村でのフィールドワークを行なっています。

山梨県小菅村は山間部に位置する集落で、人口700人弱。高齢化率は4割を越えます。山々の間を縫うように家が建ち、斜面には畑が広がっています。

「小菅村は山の上なので、農業をするにも大型の機械が入らないなど条件が悪いんです。加えて農業に従事するのは70代~80代のおじいちゃん・おばあちゃんが主で、北関東の平野部の畑のように、市場に乗せるほど大量に生産できない。でも、ほとんど農薬を使わず、きれいな水と大地で育つ小菅の野菜は本当に美味しいんですよ」。少数しか採れないけれど、丹精込めてつくられた美味しい野菜。市場には出回らないので、スーパーなどで見つけることはまずない小菅村のお野菜ですが、実は『天ぷら 天悟』さんで7年前から天ぷらのラインナップに加わっているんです! こちらは2016年のバルで提供された、「小菅村産・無農薬野菜3種盛り」。

生産者、生産地を応援したいから、協力を惜しまない!

矢野さんが初めて天悟さんの暖簾をくぐったのは、7年ほど前。「その時、天ぷらが無性に食べたくて(笑)。地元に天ぷら屋さんないかな~と探してて、見つけたのが天悟さんだった。天ぷらが美味しいだけじゃなく、食材に関する知識も深い大将だったから、初回から小菅村のことを紹介したんです。で、次伺ったときにヤマメとか野菜とかを持っていった。そうしたら、『美味しいからどんどん持ってきて!』って言ってくださって、それからは私がバイヤーになって、フィールドワークで小菅村へ行ったときに野菜を買っては天悟さんに卸していました」。

小菅村の農業を守るため、小菅村の野菜をもっと幅広く知ってもらおうと、村内からも立ち上がる人が出てきました。元々小菅村役場で働いていた中川さんと青柳さんのお二人が立ち上げた会社『コネクト』は、小菅村内で生産した野菜を集めて外の地域に売りに行く、小菅村産野菜のプロモーションを事業としています。「冬は畑が凍っていて野菜はほとんど収穫できないんです。そこで村内の高齢者さんたちと協力して、水耕栽培で『発芽にんにく』を作りはじめました。根っこから芽まで全て食べられて栄養価が高く、かつニンニクの嫌な臭いが残りにくいんです」と青柳さん。

このニンニクの天ぷらを、天悟さんでは「スプラウトにんにく」として通年提供される予定だそう。一つ試しにいただきましたが、とってもみずみずしいニンニクで、口に入れた瞬間感じるパンチこそあるものの、その後口の中にあの臭いが残らない…! 小菅村の美味しい野菜と、それを守る情熱、そして天ぷら職人の技が出会って生まれた、縁を感じずにはいられない一品。

コネクトさん、今後は小菅村と縁のある地域に小菅の農産物や特産品の販路を拡げていく予定。浦安でも天悟さんへの卸をはじめ、直売やイベント開催などを考えているそう。きっと今後も浦安でお会いできる予感がします!

「お店のお客様に美味しいものを食べて欲しいのはもちろん、生産者さんや生産地を応援したいですね」と、天悟の大将・宇田川さん。「小菅村にあるものを食べてもらって、知ってもらって、『どこに遊びに行こうか』と考えたときに『そうそう、あの時天悟さんで知った、山と川に囲まれた野菜が美味しい小菅村!』って遊びに行ってもらえたら」。例年浦安バル街では小菅村のお野菜を使ったメニューを提供されたり、多摩川源流大学で企画した「小菅村地域食メニュー開発」に協力されたり、小菅村からの視察を受け入れたりと、積極的に協力されています。

お店には小菅村のパンフレットが置いてあるほか、多摩川源流大学の学生たちが作成した『小菅レシピ』の販売も行なっています。こちらも天悟さんがプロの目線でアドバイスをされたのだそう。300円(売上は全額学生さんの製作費)で購入できますので、ぜひ手に取ってみてください!

一人ひとりが、“考える消費者”になろう!

「今まさに天悟さんが果たしている『生産者と消費者をつなぐ役割』は、昔はまちの八百屋さんや魚屋さんが担っていました」と矢野さん。小売りの中心がスーパーになった現在、食品売り場には、日本中だけでなく世界中から食物が集まってきています。もちろん年中同じ野菜が買えるし安くて便利ですが、旬がわかりづらかったり、知らない食材には手が出しづらかったり…。「現代は生産者と消費者が分断されてしまっている。そのために生産地の暮らしに目が向かず、農山村が危機的状況に陥っていると感じます。農山村の危機は、すなわち都市部の生活者にとっても危機であるのに…。生産者と消費者をつなぐ必要があると同時に、消費者自身が考えて行動することが必要だと感じます」。

スーパーにしろ小売店にしろ外食にしろ、日々食べ物を買って生きている“消費者”である私たち。何を買うか、何を食べるかは、私たち自身の手に委ねられています。農山村を、ひいては私たちの暮らしを守るために、今できることは何でしょうか。 「一番簡単なのは、自分の暮らしにつながっている農山村の野菜を買うこと、お店で食べること。浦安であれば利根川水系なので、上流に位置する群馬県や栃木県や、近隣で農業を営んでいる市川市・柏市・船橋市などを応援する。新浦安駅前でも、よく農産品直売のマルシェが開催されていますよね。そういうところに足を運んで、産地の“今”を感じてみる、とか。せっかく食べるなら、美味しいものを食べたいじゃないですか」。

新浦安駅前での農産品直売は、過去に毎週金曜日開催の『下妻ふぁ~む』さん、毎週木曜日開催の『ハチワレファーム』さんを取材したことがあります。

毎週金曜日は新浦安駅前広場へ! 採れたて・旬の美味しい野菜が並ぶ『下妻ふぁ~む』を取材してきました

【毎週木曜日は、千葉県山武市の新鮮野菜の直売日!】ほとんどが朝採り・無農薬、試食もあってとっても楽しい♪ さあ、木曜日は新浦安駅前へ『ハチワレファーム』に会いに行こう!

こうした直売所では、生産者さんの生の声を聞くことができ、そして私たち消費者の生の声を届けることができるのも、大きなポイント。生産者から消費者へ、消費者から生産者へのキャッチボールをすることで、よりつながりは強固になるのではないでしょうか。

「あとはぜひ、産地へ遊びに来てください! 小菅村には温泉もあるし、アスレチックやトレッキングやキャンプもできるし、美味しい料理と宿もあります。浦安からは車で2時間ちょっとで行けます。お待ちしております!」。


毎年5月4日には、村民が一丸となってつくりあげる『多摩源流まつり』という大きなイベントが開催され、毎年1万人を超える人出でにぎわうのだそう。新緑の季節、山と川に囲まれた自然に触れるには絶好の機会! 今年のゴールデンウィーク、小菅村で過ごすことも検討してみてはいかがでしょう?


左から、コネクトの中川さん・青柳さん、矢野さん、天悟の宇田川さん。

『農山村の存続危機』という重めのテーマ。にも関わらず、なんだかウキウキと陽気な空気に包まれた今回の取材。もちろん美味しい天ぷらがお供だったという要素も大きいのですが、ここにいる全員が、これからの小菅村と浦安に明るい未来を感じたからではないでしょうか。天悟の宇田川さん、農大の矢野さん、小菅村の中川さん・青柳さん、貴重なお話をありがとうございました!

天ぷら 天悟…浦安市北栄1-2-37 047-314-5190(※要予約)
火曜定休 TwittterFacebookInstagram

山梨県小菅村 http://www.vill.kosuge.yamanashi.jp/

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