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【連載Vol.3】子どもの成功と幸せを願う父からの「息子への手紙」|第3章 心の食べ物その一

心にも食べ物が必要なのだ!

小学六年生の三男の向爾が、最近元気で活き活きしてきた。良いことだ! 父兄参観日に体育の授業を見に行って、向爾が元気になったわけが判った。体育館でマット運動と跳び箱をやっていた。


マット運動が始まり、「倒立転回」する子が居る。
「オ〜! 凄いぞ!」と、鈴木先生の声が飛ぶ。
嬉しそうな顔、得意気な顔、がある。
その横のマットでは「でんぐり返し」する子が居る「オー! 良いね〜!」と、鈴木先生の声が飛ぶ。
少し恥ずかしそうだが、嬉しそうな顔がある。今度は、跳び箱だ。七段を跳んだ子が居る。
「オ〜! 凄いぞ!」と、鈴木先生の声が飛ぶ。
その横の五段を跳んだ子が居た。
「ウン、上手くなった!」と、鈴木先生の声が飛ぶ。
先生に褒められた子供達は、それぞれが嬉しそうである。

そうか、鈴木先生は、それぞれの子供に目を走らせて、それぞれの成長段階に合わせた声を掛けるのか、だから子供達が嬉しくて活き活きしているのか! 良い先生だな〜! と、嬉しくなった。子供は、先生に目を掛けられると、嬉しくて、やる気になれるのだ。

私は、遙か昔の自分の姿を思い出していた

私が小学四年生の時、国語の時間に短歌を書くことになった。学校の周辺をみんなで山に登ったり、小川でカニを捕ったりした後、「川は、下へ下へと流れて行って、やっと着いたは海だった」と、書いて出した。どうしたことか、先生が「浩一君の短歌が素晴らしい!」と、褒めてくれたのだ。何となくそう書いただけだった私は、ビックリしたが嬉しかった! 人から初めて褒められた時だった気がする。私より頭の良かった井上君が「先生、それは字余りではありませんか?」と質問した。戸渡先生は「時には字余りでも良いのです」「心の中の何かを表現できていれば、それが良い歌なのです」と仰いました。「そんなものか」「そんなこと考えたこともないし、ただ想ったことを書いただけだったのに」と、想いながら「先生に認められた」と、ともかく嬉しかった。

その数日後、職員室に呼ばれて「君の詩を県大会に出すので、何か詩を書いてくれ!」と、言われた。詩なんか書いたこともないので、どうして良いか判らなかったが、先生への断り方も知らないので書くしかなかった。「杜の中の独りぼっちの天神様が可哀想、だからみんなで参ってやって、せめて今日だけにぎやかに」と、書いて出した。県大会では入賞しなかったが、卒業後10年間ぐらいは、朝礼を行う中央廊下に張り出してあった。

その後何故か、私は図書委員長に任命されて、「小学四年生」という月刊誌を渡されて、まず私が読んでからみんなに渡すことになった。日本中が貧しく、本が貴重な時代だったので、今考えても戸渡先生に大変な優遇を受けたことになる。「小学四年生」の懸賞に投書して、「野口英世伝」「シュバイツアー伝」「新渡戸稲造伝」等々をもらって読んだ。この時から私は本を読むようになり、調子に乗って詩人になろう、と思うようになっていた。近所のおばさんに「あんた頭が良いね」と言われるようになった。先生に認められたことは、その人間の未来を変える力があったのだ。向爾、良い先生に会えて良かったね〜!

文:今泉浩一
1941 年福岡県生まれ。’67 年早稲田大学法学部卒業/ ’79 年(株)明和地所を創業/現在は(株)明和地所会長。「書く以上は事実を曝けだして、心の底から思ったことを書こう! 」と思っている。格好の良いものや美しい文章からは本当の心は伝わらない、と思うからである。書きながら、涙が溢れて止まらなかったこともある。親として、人生の先輩として、ビジネスマンとして、また経営者として、私が体得したものを、そのまま君達に伝えたい!
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※この内容は、フリーペーパー「浦安に住みたい!」2024年5-6月号に掲載された内容です。
※フリーペーパーに掲載されている日程が変更になる場合があります。最新情報はそれぞれの店舗・主催者にご確認ください。

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