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これからの地域社会に必要なもの。ハイタウン塩浜のコミュニティカフェ「みどりtoゆかり」5周年インタビュー【市川市塩浜】

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コミュニティカフェ」という言葉をご存じでしょうか。飲食店としてだけでなく、地域の人たちの居場所であり交流の場所である役割も果たしている、そんなカフェのことを指します。

浦安のお隣にある団地「ハイタウン塩浜」には、「みどりtoゆかり」というコミュニティカフェがあります。今年1月に5周年を迎えた「みどりtoゆかり」は、美味しいコーヒーや食事を提供する飲食店としての機能も果たしつつ、地域の人たちがスタッフとして働いたり、地域の人たちの手作り品を置いたり、イベントを開催したり…ご近所さんが様々な関わり方をしている場所。5周年イベントにお邪魔したとき、「みどりtoゆかり」の持つ「いろんなものがごっちゃにあるけれど居心地が良い」空間に感動した私。オープンからの5年間を、店長の栗原さんに振り返っていただきました。

地域の人が、様々な形で関わり合う場所

ハイタウン塩浜の3号棟、アコレやからあげ屋さんの向かい側にあるのが「みどりtoゆかり」。きれいな黄緑色の看板と、ガラスと木でつくられた大きな引き戸が目印です。

扉を開けると、中から「こんにちは!」と元気な声でスタッフさんが迎えてくれます。店内はソファ席とテーブル席、お一人様用のカウンター席、奥にはコタツやお座敷も。「ここにはおじいちゃんおばあちゃんから小学生の子供たちまで、幅広いお客様が来店します。みんなが居心地よく過ごせるよう日々工夫しながら、この形になりました」と店長の栗原さん。

ソファ席の後ろの壁や入口のそばに並んでいるのは、近所の人たちの手作り品。バッグやポーチ、アクセサリーにフラワーアレンジなど、バラエティ豊かな雑貨ずらり♡ お店の表に出ている野菜も、近所の人やそのご親戚が作っている野菜。イートインでいただけるケーキもご近所さんが作ったものなんですって! 「みどりtoゆかり」は「お店とお客様」という二者択一の関係性ではなく、「地域の人たちがいろんな形で関わり合う場所」なんですね。

これからの時代に重要な“コミュニティづくり”

「みどりtoゆかり」を運営するのは、東邦レオ株式会社。エコ建材や都市緑化の開発、緑地管理などを事業としている会社です。2011年、東邦レオ株式会社がハイタウン塩浜第二住宅の植栽管理を受託したのが、ご縁の始まりでした。「この団地は車と歩行者の動線が分かれていて、緑豊か。植栽管理をしている中で、ハイタウン塩浜の団地の生活空間としての快適さを実感する反面、不動産の価値としては『築年数が古い』『間取りが昔っぽい』と敬遠されがち…。管理組合も高齢化する中、若い世代にこの団地の魅力を伝えていくにはどうしたらいいのか、考えるようになったんです」

時代のニーズに合わせ、資材販売から施工、メンテナンスと事業が広がっていった東邦レオ株式会社。分譲マンションの植栽管理を実施する中で、「団地内のコミュニティづくり」という新たなニーズに着目します。「ハイタウン塩浜団地」賃貸等を管理するUR賃貸住宅とタッグを組み、コミュニティスペース「みどりtoゆかり」の構想がスタートしました。「最初はカフェにする予定ではなかったんです。会社のイベントスペースやコワーキングスペース、レンタルスペースとしての活用を考えていました。でもここで店舗づくりの工事をしていたら、住民の方から『カフェを作ってほしい!』という声をたくさんいただいて。急遽カフェを作ることにして、キッチンも大きなものに入れ替えたんです。当初、メニューはホットコーヒーしかなかったんですよ」と栗原さんは笑います。2018年1月のオープン以降、徐々に他のドリンクやフードのメニューが増えていったのだそう。

「当初、カフェのスタッフは社員10名でシフトを組んでいたんですが、全員飲食業の経験はアルバイト程度だったので、本当に超・手探りでした。オープンしてすぐ来店してくれたのは、今までにも関わりのあった住民の方々や、好奇心旺盛な方が中心。1日開けていても、数える程度しか来店がない日もあって、地域に馴染むまでは少し時間がかかりました。徐々に常連さんがお友達を連れてきてくれたり、ここでイベントをしたいという方や、作品を売りたいという方が現れたり…ちょっとずつ輪が広がっていきました

いろんなものがごちゃまぜ! なのに居心地が良い、その秘密は

輪が広がっていった大きな理由の一つが、「なるべくいろんな人を受け入れる」という精神。一般的なカフェの場合、来店した人はお客様としてお金を払い、お店側がサービスを提供する…というスタイルで、「お店」と「お客様」の間には明確な境界線があります。

たとえば「自分の作品を売りたい」「親戚の農家がつくっている野菜を販売したい」「ダンスの発表をしたい」「起業したいけど場所を貸してほしい」…そんな「やりたいこと」を持つお客様が来店した時。「みどりtoゆかり」ではスタッフさんたちが「じゃあどういう形ならここでできるかな?」と考え、その都度みんなで知恵を絞ります。5年間、そうした試行錯誤の中で形づくられてきたのが、たくさんの人がいろんな関わり方をするコミュニティカフェ「みどりtoゆかり」なのです。

個人との関わりに留まらず、ハイタウン塩浜団地の管理組合や自治会、企業とのコラボイベントや同じ敷地内にある塩浜学園(小中一貫校)との共同取り組みもあります。企業とコラボするときに気をつけていることは、単純に宣伝をするだけではなく「何かしら住民のメリットになる形で」行なうこと。「特にコロナ禍ではイベントが激減したので、イベント出店をきっかけにエンドユーザーとの接点を持っていた企業さんからの依頼が多かったです。携帯電話会社さんには店頭でブースを出して住民のスマホの利用相談に乗ってもらったり、生協さんは産直野菜を販売したり…」

5周年イベントの様子。お客さんもスタッフさんも、みんなでフラダンス!

イベントも多数開催中。年々参加者が増えているという「みどゆかハロウィン」、昨年の開催では近所のお店ともコラボし、敷地内にある塩浜学園からだけでなく近所からたくさんの子どもたちが集まりました。URと共同で開催している「塩浜えんがわ祭」はお店の前の空間にテーブルが並び、フードやドリンク、ステージも楽しめる大きなお祭り。浦安から参加する人も多いんですって! 月に一度開催される「塩浜テーブル」は、近所の人たちの手作りお惣菜を並べてお酒を楽しむイベント。もてなしながらもてなされる、持ちつ持たれつの関係性が、そこにはあります。

近所の人たち、高齢者、企業、お店、学校…たくさんの人や組織を巻き込む「みどりtoゆかり」。だからこそ、「みどりtoゆかり」に来店する人々も多様です。ちょっとお友達とおしゃべりしに来たおばあちゃん、お昼から幸せそうにビールを飲むおじいちゃん、リモートワークのサラリーマン、赤ちゃん連れのママグループ、学校が終わってゲームをしに来る小学生…。多様な人たちがいて、思い思いにいろんな過ごし方をしている。お店を見渡せば、手作り品に駄菓子、ソファーにこたつ、絵本にミラーボール、いろんなものがごちゃまぜに置いてあります。それでも居心地が良いと感じるのは、「みどりtoゆかり」という器に入ることで、ごちゃまぜの全てがゆるい秩序を保っているためではないでしょうか。

ごちゃまぜで居心地の良い、「みどりtoゆかり」の空間

コミュニティカフェのこれから

5周年を迎え、これから「みどりtoゆかり」が見据えるものは。「今までどおりちょっとずついろんな人に関わってもらいながら、幅が広がっていったらいいなと。これまでも明確な目標を見据えてやってきたわけではなく、その時その時でやり方を模索しながら積み上げてきた5年間だったので、どうなっていくのかは未知数な部分もあります。個人的にはもう一段違うレイヤーで、ビジネスとしてコミュニティカフェを成立させられるよう、模索していきたい」

店長の栗原さん(中央)と、スタッフさんたち。

社員スタッフ10名で始まった「みどりtoゆかり」。5年経ち、現在の社員スタッフは栗原さんのみで、その他のスタッフは「ここで働きたい」と思いの合致した地域の人たちが活躍しています。「それぞれ得意分野と夢を持ったメンバーが揃っています。それぞれがいろんな動き方をしているので、これから『みどりtoゆかり』がどうなっていくのかが楽しみですね」

認知症、介護、居場所、子育て、防犯・防災、様々な行事の担い手不足…。少子高齢化の時代、地域の抱える課題は多岐にわたります。加えてコロナに戦争、環境問題など、自分ひとりの力ではどうしようもないグローバルな問題も山積してる現在。未来の暗さに、自分の無力さに、前向きになれないこともあるでしょう。そんなとき力になるのは、自分の手の届く範囲にいる、助け合い励まし合える人々の存在だと思うのです。近所の人々が集まり、いろんな形で関わりあうコミュニティカフェは、嵐の中を着実に歩むための灯台になるのではないか。「みどりtoゆかり」を取材して、そんなことを感じました。

みどりtoゆかり…市川市塩浜4-2-3 ハイタウン塩浜105
TEL:070-2316-9986
日・月定休、9時半~17時
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