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助けを求められない子どもたちを救いたい! 2/4開催「ヤングケアラーシンポジウム」参加レポート

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ヤングケアラーという言葉をご存じでしょうか。親に代わって幼い兄弟の面倒を見たり、親や祖父母の介護をしたりと、本来は保護者(大人)がやるべき家事や家族の世話を日常的に行なっている、そんな子どもたちのことを指す言葉です。2月4日(土)、ヤングケアラーについての理解を深めようと企画された「ヤングケアラーシンポジウム」が、Wave101にて開催されました。私も取材に行ってきたのですが、たくさんの方々が参加し、熱い議論が繰り広げられていました…! その様子をレポートします。

主催はヤングケアラーに関わる3団体。教育委員会からの中間報告もありました

初開催となる「ヤングケアラーシンポジウム」。ヤングケアラーに関わりのある浦安市内の3団体が昨年夏から協議を重ね、開催に至りました。

3団体のうち一つは「オムソーリ・プロジェクト」。認知症カフェ主催で現浦安市議会議員の斉藤哲さんが立ち上げたプロジェクトで、ケアラー支援にも力を入れている団体です。

肢体不自由児きょうだいの会 ぞうさん組」は、障がいや病気を抱える子どものきょうだい児の居場所作りに取り組む団体です。「子どもが親のパートナーとなって、障がい児の世話や家事をしている事例はたくさんあります」とぞうさん組代表の齋藤みゆきさん。

もう一つの団体「HPS/HPCリンクパートナー」は、5人に1人いると言われているHPS(Highly Sensitive Person=生まれつき感受性が高く、繊細な人)の気質を持った人たちのことを、広く知ってほしいと活動している団体。代表のうめもとかおりさんは、ご自身や子どもたちのHPS/HPCの当事者としての経験から、様々な活動を行なっています。

ヤングケアラーについての概要説明のあと、浦安市教育委員会から浦安市のヤングケアラーの実態調査についての中間報告も行なわれました。正式な発表はもう少し先になるそうです。

元ヤングケアラーの当事者を招いてのお話は、想像以上に衝撃的

続いて、ヤングケアラーの元当事者であるAさん(50代女性)に登壇いただき、インタビュー形式でお話を伺いました。若い父母の元に生まれ、4人兄弟の長女だったAさん。小学校の入学式には父も母も来ず、生まれたばかりの幼い弟を学校の保健室に預けて教室に行くような生活だったそうです。

ほとんど家にいなかった両親に代わり、弟や妹たちの世話をほぼ一手に担っていたAさん。おむつ替えやお世話に始まり、ご飯を作り、お弁当を作り、洗濯や掃除…「洗濯物を畳むのは夜中の0時を回ってから。友達と遊ぶ時間も、勉強する時間も本当になかった。宿題は朝学校に行ってからやっていました」とAさん。6歳からずっとそんな生活だったそうですが、当時は「いつも忙しそうな母の力になりたい」という気持ちが強かったと言います。一方で「こんな生活がバレたら恥ずかしい」という気持ちもあり、誰かに相談しようとは思わなかったのだそう。

小学校1年生、6歳のころから10年もそんな生活が続き、高校生になったAさんはアルバイトを始め、家計を助けるようになります。そのころから弟たちの世話をする時間がなくなり、小学生だった弟は非行に走るように…。「弟の学校から呼び出しが来るんです。それを対応するのも私。もう10年そんな生活が続いていたので…もう逃げ出したいという気持ちが強くなって、弟たちを捨てて家出しました。その後母親は行方が分からなくなり、弟たちは施設へ入り一家崩壊するんです」。そうなるしかなかった、とAさんは話します。

「私の子ども時代は、まだ親世代に戦後の記憶が生々しく残っていて、もっと辛い苦労話がたくさんありました。だから『親世代の戦後よりはまし』という気持ちで耐えることができたかもしれません。今は時代が違うから、今のヤングケアラーはより孤独でより辛いのではないでしょうか

Aさんの話のあと、参加者からも様々な質問が出されました。「ヤングケアラーという立場を脱した今、何かしてほしいこと、必要なことはありますか」という質問には「今ヤングケアラーの子どもたちを救ってほしい。あとは途中で学校へ行けなくなってしまっても、いつでもそこへ戻って勉強し直せるようになったらいい」との回答。今ヤングケアラーの子どもたちに向けて伝えたいことは、「いつかいいことがある。必ずチャンスはある」と回答いただきました。

ディスカッションでは、様々な立場から熱~い意見がたくさん飛び出しました!

休憩を挟み、各テーブルごとにAさんの話を聞いて思ったことをグループディスカッション。全8班の中で、まず4班が意見を発表します。「子どもは言い出せない。大人がどう声をかけるかが重要」「行政の支援をどう子どもへ届けるのか、その方法を考える必要がある」「ヤングケアラーではなくなった後の支援も必要」といった意見が出されました。

続いてこの意見をもとに、自分や社会が何ができるか・したいかを、さらにグループディスカッション。にわかに会場が熱を帯びます。「今回のような集会を認知させ、継続していくこと」「やはり子どもとの接点は学校。先生だけでなく心理士やカウンセラーなどを配置し、チームでアプローチしていく」「子どもたちが『助けて』と言えるような教育」「支援者同士の横のつながり」「早く気づく仕組み作りとして、気軽に相談できる窓口をつくる」…学校関係者、行政関係者、介護関係者など、様々な立場の参加者さんから様々な意見が出され、拍手喝采! ヤングケアラーの子どもたちを救いたいと願う大人たちがこんなに多いことを、ぜひ知ってもらいたいです…!

一緒に活動したい!という方、お待ちしています

主催者の皆さんも「こんなに盛り上がるとは!」と驚きを隠せなかった、初開催の「ヤングケアラーシンポジウム」。この催しが定期的に行われることで、「助けて」と言い出せない子どもたちに少しでも光が届けばいいなと思います。最後に主催の皆さんから言葉のあった、「支援」ではなく「支縁」――援助をするというと何をしていいかわからなくても、“縁を支える”ならやれそうな気がしてきませんか。

ヤングケアラーを支える3団体の取り組みは、まだ始まったばかり。このシンポジウム後、新たに協力を申し出てくださった団体もあるそうで、ここから生まれたつながりからも新たな動きが期待できそうです。3団体の今後にもぜひご注目いただき、同時に「一緒に活動したい」という方もお待ちしています!

オムソーリ・プロジェクト…https://www.u-shimin.genki365.net/G0000444/
肢体不自由児きょうだいの会 ぞうさん組…ホーム | My Site (kyoudaizousan723.wixsite.com)
HPS/HPCリンクパートナー…HSP/HSCリンクパートナー『Heart Smile Present』 (crayonsite.net)

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