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【連載Vol.6】子どもの成功と幸せを願う父からの「息子への手紙」|第1章「子育ての苦労」こそが「親の楽しみ」

7.ゲームと勉強ー大学へ行け!

「勉強なんて嫌いだ!」「お母さんがうるさく言うからヤル気がなくなる!」「お父さんは一番になれって言うけど、そんなの無理だよ。俺は頭が悪いんだから」…。そんなことを言いながら、少し勉強し、少し遊んだ君の一学期末の成績は、驚くほど悪かった。お母さんはゲーム機まで隠してしまった。
「勉強しなさい!」「ゲーム出してよ!」なあ、太爾! 何の為に人は学校へ行き、勉強するのだろうか。皆、自分の為じゃないのか。

私は福岡の農家の次男坊だから、大学など行けないはずだけど、「行きたい、行きたい!」と思っていたら、両親や兄や叔父が応援してくれて、田を一反売って入学金をつくってくれたりした。家族を犠牲にしてまで、どうしてそういう道を選んだのか。勉強を好きだからではなく、何故か「世の中の役に立つ大きな人間に成りたい!」という想いが強かったからだ。「何か大きな事がしたい。その為には多少他の人間を犠牲にする覚悟で、わがままを通さないと何も出来ない。金閣寺や銀閣寺もその残骸である」と。20歳の頃の私は、そう考えていた。今になって思い返すと、大変迷惑な若者だったと思う。しかし、私は間違いなく「前を見ている、上を向いている」青年だったと思う。10年後、20年後の大きな夢を追いかけていたので、今、目の前の遊びや、勉強の辛さなどなんでもないことだった。そして、その後何度も失敗して、世の中は自分の思うようにはいかないことが判ったし、人を犠牲にしてその上に立ち上がっても何にもならないことも、人の応援なしには生きられないことも判ってきた。そして、苦しい受験勉強に耐えて高校、大学と進んだことは無駄ではなかったと思う。

まず第一に、逃げずに戦ったことは力になっている。第二に、学校に行くことは、人生の旅をする為の地図を手に入れるような効果がある。自分が行きたい所に行こうとした時、その街の地図を持っているのと、いきなり現地に行ってやみくもに探し回るのとでは、大きく違う。学校に行かず、地図も見ずに、現地に行っても、迷いながらいつかは目的地につくだろう。だが、行かなくてもいい所に行ったり、やらなくてもよい失敗を繰り返したりしなければ、目的地にはたどり着けないだろう。

第三に、未だ何がしたいか、どういう人間になるか決まっていない時期、少なくとも20歳前に仕事を選ぶのは難しい。自分の将来が見えるまで、何をしたいか決めるまでの間は、人生の地図を探しに高校や大学に行った方が自分の為になる。

20歳になるまでは親として君の面倒を見るし、口も出すつもりだ。20歳を過ぎたら君を独立させる。むろんその後も親として応援はするが、君の責任は取らない。それまでに自分の方向を決めなさい。目先の10万円の為に10年後の100万、30年後の10億円を捨てるような愚か者にならぬように期待する。もっと自分の将来を探しなさい。ずうっと遠くが見える人間になりなさい。人より高いところに登りなさい。そうすると人が見えてくるし、世の中が見えてくる。1年後、5年後、10年後の将来設計図が書けるようになる。

今、目の前のゲームで戦争をして私まで巻き込まないでくれないか。なあ、太爾! お前の名前は「太い大きな人間になれよ」と名づけたんだよ。

文:今泉浩一
1941 年福岡県生まれ。’67 年早稲田大学法学部卒業/ ’79 年(株)明和地所を創業/現在は(株)明和地所会長。「書く以上は事実を曝けだして、心の底から思ったことを書こう! 」と思っている。格好の良いものや美しい文章からは本当の心は伝わらない、と思うからである。書きながら、涙が溢れて止まらなかったこともある。親として、人生の先輩として、ビジネスマンとして、また経営者として、私が体得したものを、そのまま君達に伝えたい!
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※この内容は、フリーペーパー「浦安に住みたい!」2024年11-12月号に掲載された内容です。
※フリーペーパーに掲載されている日程が変更になる場合があります。最新情報はそれぞれの店舗・主催者にご確認ください。

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