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浦安にチャンピオン誕生!日本女子フェザー級王座に輝いた藤原茜さんとは…“取るべくして取った”4度目の挑戦。【浦安市】

4月頭の朝、出社した瞬間に嬉しいニュースに飛び上がる浦安に住みたい!編集室メンバー。「藤原茜さんがチャンピオンになったって!!」 今年4月1日の夜、後楽園ホールで「日本女子フェザー級タイトルマッチ」が開催され、新チャンピオンが誕生しました。そのチャンピオンがなんと浦安出身、更には当代島のスイーツ店「RUBIA」さんの商品開発・オーナーを務めるプロボクサーの藤原茜さん。

落ち着いてから…と5月になってから取材させていただきましたが、まだまだ興奮冷めやらぬ編集室メンバー。浮足立つ足取りで茜さんのお店、RUBIAさんを訪れました。

「年齢はただの数字」いくつになっても挑戦できる、始められる

RUIBAさんで待っていると、ひまわりのような笑顔の茜さんが「こんにちは~」と登場。その肩にはキラッキラッと光る真っ白なチャンピオンベルトが…っ!「出来立てほやほやなんですよ~。持ってもらって大丈夫ですよ」と言っていただき、慎重に持ち上げると、ず…ずっしり重い…っ!この重さのベルトを軽々と肩にかけて持ってくる茜さん、チャンピオンの風格を感じます。

27歳でボクシングをはじめ30歳でプロデビュー、そして今回のタイトル戦は36歳での挑戦。一般的なスポーツで言うと遅く始められた印象がありますが…

「最近の女子プロボクシング界はアマチュア層も増え若年化が進んでいますが、私が始めた頃は30歳オーバーも多くて。私が今回対戦した選手も40歳の方。また、日本人で4階級、世界で4個のベルトを取った大先輩の選手がいて昨年引退されたのですが、その方はなんと御年48歳!でも最後までめちゃくちゃに強かった!!」

48歳で現役!女子の強さというか、執念ややり切る強さを感じます。
「女子の方が現役寿命が長いかもしれませんね。20代の子もいるし、40歳以上でまだまだ現役で活躍している方もいっぱいいます!だから年齢はただの数字だなって思いますよ」

…と、茜さんは言うけれど、体力的にも精神的にも、挑戦しようと思うモチベーションの作り方、なかなか出来ることではありません。そんな女性がこの浦安にいて、身近に感じられる…茜さんを見ていると「もしかしたら私でも、今から挑戦が出来るのかもしれない」と勇気をもらえる気がします。

「まさしく、私がボクシングを始める時に掲げた目標の一つがそれなんです!当時の27歳という年齢が、何かを始めるのに遅いか早いかで言ったら早い年齢ではないと思います。でも、ゼロの状態であっても挑戦は出来る、もちろん皆がみんな努力が実るわけではないけど、でも挑戦したその先には何か素晴らしいものをつかめるはずって信じていました。おこがましいかもしれないけれど、私が挑戦し結果を出すことで『いくつになっても挑戦できる・始められる』っていう事を、同世代の女性にも伝えられたら良いなって思っていました」

口出しはしない、でも応援は全力で。「だって茜の人生だから」つかず離れずの“心地よい”母娘の距離感

ボクシングを始めると決めた時、家族の反対は無かったのでしょうか?
「父は反対していましたね『そんなことやって何になるんだ!』って。ぶっきらぼうなのでそんな言い方でしたが、言葉とは裏腹に心配していたんだと思います」。お母様はどうたったのでしょう?

「母は反対も賛成もせず、へ~そうなのっていう感じ(笑)。いつもそうです」
えぇ!そんなあっさり!!心配じゃなかったですか?とRUBIAの厨房で作業をする茜さんのお母様、美千代さんに話しかけると「だって、茜の人生だし」とカラリとした笑顔で厨房から出てきて話を聞かせてくれました。

「茜がおばあちゃんになるまで、私はお世話できないじゃない。茜の人生だから茜が決めないと」。三兄弟の中で娘さんは茜さんだけ。女性がボクシング…怪我とか心配ではなかったですか?と伺うと「心配だったけど、それは息子だって一緒。女の子だからとか関係ないと思うのよね」と美千代さん。

「もちろん全く心配が無かったと言ったら嘘になると思うけれど。もともと格闘技自体、あまり好きではなかったし。でも茜がある時、ボクシングの試合に連れていってくれたことがあって。その迫力と選手の気迫に圧倒されて、なんという世界なんだ!って感動したんですよね。この世界で茜は頑張っているんだって思ったら、応援しない選択肢は無かったかな」

「言っても聞かないしね」と笑いながらも、話の節々から茜さんのことを信頼していることが垣間見えます。つかず離れずのちょうど良い関係の母娘。そんなお二人の関係性、とっても素敵でした。

「さっき話していた、何かを始めるのに『遅いも早いもない』っていうこと、まさに母が今体現してくれているんです」と茜さん。

「母はずっと専業主婦で私達兄弟を育て、家庭のことに一生懸命で外の世界を知らなかったんです。そんな母がRUBIAを始めると言った時に賛同し、一緒にお店を始めるという新しい挑戦をしてくれました。それは私がボクシングに挑戦したことと同じくらい、母にとってものすごく大変な挑戦だったと思うんです。それが今では私よりもこの街に馴染んで、知り合いや友達がたくさん増えていて。これってスゴイ事ですよね!母の人生がより豊かなものになっていたら、私が今回チャンピオンを取ったことと同じくらい『成し遂げた』ことになると思うんです」

トレーニングや試合に忙しい茜さんに代わって、現在RUBIAのお店を切り盛りするのは美千代さん。娘の挑戦に余計な口出しはせず陰ながら見守り、でも応援は全力でする。チャンピオンとなる茜さんを支えた一つの“柱”は美千代さんのような気がします。

今回が最後の挑戦だったかもしれない

「一応年齢制限は撤廃になったんですが、でも、今回タイトルを取れなかったら次はどうしたかな…って思います。4回連続でタイトル戦に挑むって聞いたことがなかったので」

今回のタイトル戦、実は茜さんにとって4回目の挑戦でした。年齢制限が撤廃されるまでは、女子だけではなく男子にも定年があり、タイトル保有者以外は37歳で引退でした。茜さんは今年37歳になります。タイトルを取っていない茜さんにとって、今回が最後の挑戦になるかもしれない試合でした。

「実は私、もともとメンタルは強い方じゃなくて。あとちょっとのところを頑張れないというか…過去の3回の試合も、ここで倒しに行けば勝てるかもしれないって思っているのに、残りのラウンドでスタミナ切れちゃったら嫌だからいかないとか。ガムシャラにやって勝てなかったらカッコ悪いなとか思って、やり切れない自分をずっと感じていたんです」

今までの試合、どこかあと一歩のところで引いていた自分に気づきながらも、そこを改善できなかった茜さん。「どんなに練習をしても、そこの部分が育たないとチャンピオンにはなれない」と言います。
チャンピオンとなった今回、3回目までとどんな変化があったのでしょうか。

「一番はトレーナーとチームが変わったことですね。今までのトレーナーとも本当にしっかり練習して臨んていたんですが、新しいチームになってからはしんどい場面でも『出ろ!いけ!!』という指示と練習をめちゃくちゃしたんです。例えばサンドバックの打ち込み練習で、今までならここで終わりかなというところから『あと2回ね~』って普通に言ってくるから、え~?!みたいな(笑)」

私が想像しているよりも、はるかにしんどいんでしょうね…

「めちゃくちゃしんどい(笑)!だけど、意外といけるんですよ。前職でトレーナーをしていたのに忘れていたことがあって、人間って物理的な限界と精神的な限界があるんですよ。そこにブレーキをかけているのは精神なんですよね」

技術的な部分はもちろんですが、それよりも根性。ここ!っという時に手を出せる練習をしたという茜さん。その練習は気持ちの部分を大きく成長させてくれたと言います。

「もちろん、精神力だけで勝てるわけでは無いけれど。今回も、打ち合いが続く中で『これ以上、前に出て打ち合うのはシンドイ…』と思ってしまう局面がありましたが、“苦しくなったらここからがスタートだ!”というのを思い出しながら戦い抜きました。ガムシャラに。あれがなかったら今までと同じように引いちゃって、チャンピオンにはなれていなかったかもしれないですね」

すごい!本当に最後は“気持ち”なんですね。「いや、本当に!私も今回初めて知りました。最後は気持ちなんだって」
だからこそ「今回勝てて、チャンピオンになれて良かった」と茜さんは言います。

「ほんのちょっとの違いだけど、挑戦する気持ちってこういうことなんですね。今までは“倒されたくない”っていうのが試合に出てしまっていたんだと思う」

本当の意味での「ガムシャラ」「もう一歩踏み出した挑戦」「諦めない気持ち」を知った茜さん。今回のタイトル戦は“取るべくして取った”、茜さんにとって最高のタイミングだったのかもしれません。

「もちろんタイトルは早く取れるに越したことはないです。負けると絶望的なんですよ…でももしあのままチャンピオンになっていたら、どこかで“チャンピオンになるのチョロい”って思っちゃったと思います。だから今回、4回目でチャンピオンになれて良かったって思います」

“人のおかげ”でなれたチャンピオン。だかこそ、この結果を“人”に還元していきたい!

「今回チャンピオンになれたのは、本当に“人のおかげ”だと思います」今回のタイトル戦を振り返ります。

「トレーナーやチームの皆はもちろん、スポンサーの方、母や応援し続けくれた方々。一人ひとりの、色んな形なんですが応援や想いを受け取れるようになればなるほど心が強くなりました。今回チャンピオンになれた大きな要因の一つです」

たくさんの“人”のおかげでなれたチャンピオンだから、これからはこの経験を還元していきたいと茜さんは話します。

「チャンピオンになって見える世界、やっぱり違います。いくつになっても挑戦できること、やりたい事は必ずしもなくて良い、いつかきっと見つかること、頑張ったその先にあるもの…。それらを私が体験できたのは、これまで支えてくれた人のおかげです。恩返しじゃないけれど、この経験を色んな形で皆さんと共有したいと思っています」

いくつになっても挑戦し続ける…それを伝えられるのは、そこに行き着いた茜さんだからこそ。茜さんが見たその先の世界の話を聞いて、本当の意味で、背中を押してもらえたように感じました。

そんな茜さん、早くも次の試合を夏に控えているそう!結構すぐに試合があるのですね。「トレーナーが気合の漢みたいな方なので」と笑いながら、次の試合への意気込みを話してくれました。

「次の試合や周りに対して、少し俯瞰して見られるようになった気がします。この相手にはこう対策し勝てる方法を考えて練習したらいい。そう思えるようになりました。今まで考えていたモヤモヤ、余計なものが無くなったから良い意味で余裕が生まれたんですね。そしてあとはガムシャラに挑むのみ!」

実は茜さんを取材させていただくのは今回が2回目。初めての取材が9年前、ちょうど茜さんがボクシングを始められた頃でした。「懐かしい~そうでしたね!」と話す茜さんのキラキラッとした笑顔はあの頃と変わらず、けれど芯の強さや心の強さはずっしりと、太く大きくなっているように感じました。

9年前、RUBIAを取材させていただいた時の(右)茜さん(左)美千代さん

「いくつになっても挑戦できること」体現して教えてくれるチャンピオンのいる浦安。誇らしく、誰かに自慢したい!そう思わずにはいられない取材でした。

茜さん。チャンピオン、おめでとうございます!!

RUBIA -sweet & sweets-
047-712-6381/浦安市当代島2-1-5/営業時間:11:00~17:00/定休日:日・火曜日
HP:http://rubia-tk.com/ インスタグラム:rubia_sweets_urayasu

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