若い世代が多く住む浦安市、一方で高齢化が進むエリアも広がっています。中町に位置する弁天・見明川エリアでは分譲当時から40年以上経った今、世代交代で若い世代の流入も多い街の一つです。この地域は、第1期海面埋立事業によって昭和43年6月24日に誕生し、昭和56年4月1日の市制施行により「浦安市弁天」となりました。当時から暮らす住民の中には、運転免許証を返納し、頻繁に買い物へ行くことが難しくなった方も少なくありません。そこへ追い打ちをかけたのが、コロナ禍でした。

買い物の不便さを少しでも解消しようと、当時ほかのエリアで移動販売を行っていた八百屋に声をかけ、2021年5月にスタートしたのが「見明川ファミリークラブマルシェ」です。「当初は近隣のコンビニエンスストアとの連携も検討したのですが、温度管理の問題などもあり、実現には至りませんでした」と話してくれたのは、元民生委員、見明川住宅在住の本田さんです。
見明川住宅では、社会福祉協議会の推進委員を母体に、管理組合、自治会、シニアクラブ（常盤会）と連携しながら、住民主体のコミュニティ活動が行われています。いまではこの取り組みが地域にしっかりと根づき、日々の暮らしを支える存在となっています。

市内のお店や団体が参加

マルシェの賑わいを支えているのは、地域住民だけでなく、参加する市内のお店や団体の存在です。

冷凍保存ができる魚介類も多く、朝どれの魚介が人気の「忠七丸水産」は、行列ができるほどの盛況ぶり。焼くだけの魚介はもちろん、加工済のものも幅広いラインナップで各家庭に沿った魚介が選べるのも魅力的。

また、天明元年（1781年）創業の老舗・木田屋商店は、手頃な価格の野菜が人気。かつて今川に店舗があり、見明川住宅の住民にとってはなじみ深い存在でもあるため、「懐かしい」と、かごいっぱいに野菜を買い求める人の姿も見られます。

この日は新たな出店者も加わりました。元浦安魚市場の場外で長年花屋を営んできた「花貞 生花店」さん。見明川住宅の特徴として、自宅の庭を利用してガーデニングを楽しむ方も少ないということで、植木のお花が人気傾向でした！

昨年高洲にオープンしたおにぎり屋「Coco Kara」さんも初参加。こだわりのお米を使用、具材には、マルシェにも参加している忠七丸水産さんの鮭を使用したもの、市内の佃煮を使用したおにぎりと、市内のお店とのつながりを大事にされています。

他エリアでの買い物支援や市内イベントにも出店している、福祉事業の一環としてパン作りを行う「ふる里学舎」のパンは身近な味わいで、リーズナブルにいただけるパンはこの日も早々に完売していました。

さらに住民の家族が営む包丁研ぎ専門店も参加し、「顔が見えるから安心して任せられる」と好評を集めています。住民の方々も一緒になってマルシェを盛り上げています。

現在は月に一度の開催ですが、定期的に顔を合わせるこの場は、一人暮らしの高齢者の安否確認や孤立防止にもつながり、地域のセーフティネットとしての役割を果たしていると本田さん。回を重ねるごとに、準備や片付けを手伝う住民も自然と増え、役割を固定せず、できる人ができることを担う——そんな柔軟な運営体制も、このマルシェの特徴です。今では10名ほどの推進員の方々が中心となり、親子二世代にわたってボランティアとして関わる姿も見られるようになりました。買い物支援をきっかけに生まれたつながりが、地域全体へと広がっています。

活動開始から5年を迎えるそうで、節目となる記念イベントも企画中。包丁研ぎの実演やフリーマーケット、子どもたちの活動など、世代を問わずに楽しめる内容が検討されています。行政任せではなく、住民一人ひとりの関わりによって育まれてきた「見明川ファミリークラブ」。日常の小さな助け合いの積み重ねが、地域の安心とつながり、地域経済の活性化を両立させています。実際に訪れた住民の中には、このマルシェを心待ちにしている方も多く、単に買い物をして終わるのではなく、会話を楽しみながら人と人との交流が生まれている様子が印象的。また、シルバーカーを押す方には、かご持って買い物を手伝う姿もあり、温かな時間が流れます。

今月はクリスマスもあるということで、12月21日(日)にはクリスマスマルシェを開催！ いつもよりも30分早い、9時30分から10時30分ごろまでの実施です。おおよそ開始から1時間くらいには各店舗が完売となるので早めに伺ってみてください。
地域の課題ととも、さらに繋がる住民同士の強いつながりは街を明るくするように感じます。課題を乗り超えるだけでなく、住民のワクワクや楽しみに繋がっていることも素晴らしいですね！

見明川ファミリークラブ
開催日時：毎月第一日曜日
場所：管理組合集会場