浦安ってこんな街!
12.122025
【連載Vol.10】子どもの成功と幸せを願う父からの「息子への手紙」|第1章「子育ての苦労」こそが「親の楽しみ」

18・長男亮爾と私との勝負の歴史
(前号からの続き)
(7)6回目の勝負
バンブルアンドバンブルで頑張って一年半くらいの頃、「社長から、パリに行ってくれないか、と言われてるんだけどどうしよう?」と電話があった。「行け行け!」「『行かせて下さい! パリで修業させて下さい!』と直ぐに社長に返事をしなさい!」「日本人は、パリがファッションや美容の都だと思っているので、パリで一流になったら、日本人は文句なく受け入れるぞ!」「このチャンス逃すな!」そして、君はフランスに行った。
(8)7回目の勝負
フランスに行って、ヘアーアーティストのロラーンの助手として修業中、我々が家族旅行で君の所に行った時、アメリカにおいてきた妻が浮気をして、今後どうするか問題になった。一人で一年以上もパリに行ってしまったので、アメリカ人である彼女は待てずに浮気したのだろうが、亮爾は「どうしても許せない!」と言う。亮爾と彼女を日本に呼んで、話し合いさせて、結局、離婚となった。
(9)8回目の勝負
「アンパン食べない?」と声を掛けてきた彼女と仲良くなり結婚すると言う。会ってみると、金髪美人でソルボンヌ大学哲学科を卒業した日本好きの秀才だった。彼女の両親とも会食したが、両親とも離婚し、再婚した面白い二家族と育ての親であるお祖母ちゃんとの大集団であった。彼女の希望で日本の明治神宮で着物を着て神前結婚式を行った。女の子も生まれた。
しかし、彼女とも離婚することになってしまった。最初から、「一寸冷たい感じのある娘だな」とは感じていたが、「亮爾の仕事を、頭の良い奥さんとして助けてくれるかもしれない」と期待したのに、亮爾を師匠のロラーンから引き離し、自分がマネージャーとなってしまい、「良い仕事は取れない」「お金は自分の服や趣味の為にばかり使う」「モデルや仕事関係の女性との付き合いを嫉妬する」しで、「亮爾の仕事の成長を邪魔している」と判ってきたからだ。頭が良い女性なのに、金銭感覚が無く、あるだけのお金は自分の為に使い、無くなると私の方に「お金を貸して下さい、返しますので」と無心してきて、アパートの敷金と言って渡したお金は自分の為に使ってしまったり、その内「この人は、父親の私のお金を狙って結婚したのではないか?」と思うしかない人間だ、と判ってしまったからだ。「亮爾、どうする?」「ウーン、彼女と居ても苦しいばかりで、仕事は少なくなる」し「モデルや仕事仲間の女性と食事をしても、夜中まで嫉妬して寝かせてくれないし、仕事にならないよ」とも言う。「判った、彼女とは別れるしかないね」、という結論になり、彼女の弁護士と和解して向こうが言う通りのお金を渡して離婚した。
彼女に食い散らされたお金は2千万円以上かな。それでも正解だったね。彼女と別れた後は、自分で仕事の交渉をするので、君が人に好かれる所や、面白い工夫をしたこと等が写真家やプロデューサーに認められて、仕事が順調に進むようになり、オランダ、イタリア、ドイツ、イギリス、サウジアラビア等の国でもファッションショーや雑誌の写真撮影で活躍することができるようになり「ブック」も充実したね。結局、フランスで7年間の修業期間を経て、またニューヨークに戻り、今は日本でも仕事をするようになった。
今後も、何度も勝負時が来るだろうが、君の「創意工夫」と「ど根性」で乗り切れるさ。私でよかったら何時でも相談してくれ! それが親としての私や母さんの喜びでもあるのだからね。君のお陰で面白い経験をいっぱいさせてもらえたよ。有り難うね。

文:今泉浩一
1941 年福岡県生まれ。’67 年早稲田大学法学部卒業/ ’79 年(株)明和地所を創業/現在は(株)明和地所会長。「書く以上は事実を曝けだして、心の底から思ったことを書こう! 」と思っている。格好の良いものや美しい文章からは本当の心は伝わらない、と思うからである。書きながら、涙が溢れて止まらなかったこともある。親として、人生の先輩として、ビジネスマンとして、また経営者として、私が体得したものを、そのまま君達に伝えたい!
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※この内容は、フリーペーパー「浦安に住みたい!」2025年11-12月号に掲載された内容です。
※フリーペーパーに掲載されている日程が変更になる場合があります。最新情報はそれぞれの店舗・主催者にご確認ください。
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