「護岸（ごがん）」という言葉をご存知でしょうか？海岸沿いの街にある、波から街を守るための施設のことです。浦安市には、昔、海を埋め立てて新しい土地を作った時にできた「旧護岸」と呼ばれる場所があります。この旧護岸は、もう護岸としての役割を終えていますが、街にとってとても大切な場所として注目されています。

なぜ旧護岸を整備するのか？

この旧護岸の土地は、浦安市が目指す「みどりのネットワーク形成」において重要な空間だと考えられています 。

「みどりのネットワーク形成」とは、公園や緑地を緑でつなぎ、潤いと魅力あふれる街にしていくという浦安市の計画です 。浦安市は、この旧護岸の土地を千葉県から無償で借り受け、市が整備することで合意しました 。この計画の目的は、これまでの検討結果や住民の方々の意見も踏まえながら、旧護岸の土地を有効活用するための基本的な方針を立てることです 。

浦安市公式サイト:浦安市第1期埋立護岸有効活用基本計画を策定しました

整備の対象となる場所

今回整備の対象となるのは、浦安市内の以下の3つのエリアです 。

今川地区（今川二丁目・三丁目）
入船三丁目地区
入船四丁目地区
これらの地区はそれぞれ異なる特徴を持っているため、それぞれの状況に合わせた整備が進められます。

各地区の整備イメージ

今川地区：緑豊かな遊歩道を整備

今川地区は、戸建住宅や集合住宅が立ち並ぶエリアです 。住民の方々が快適に過ごせるよう、散歩やジョギング、ウォーキングができるような遊歩道を設置し、緑豊かな空間を作ることが計画されています 。

また、これまでの旧護岸が果たしていた「雨水の流入防止」「騒音の緩和」「沿線住宅の目隠し」「通過交通の抑制」といった効果を維持するため、緑道部分を盛り土にしたり、防音目隠しフェンスを設置したりする方針です 。震災で狭くなった市道の車道も拡幅し、安全で快適な通行ができるようにします 。災害時の避難場所へのアクセスや、幼稚園・保育園への通園者の利便性を向上させるため、県道へ抜ける歩行者通路も検討されます 。

入船三丁目地区：住環境を維持し、歴史を伝える広場も

入船三丁目地区は、戸建住宅や低層集合住宅（入船中央エステート・パークシティタウンハウス）のエリアで、現在の静かで快適な住環境を維持したいという住民の意向が高いエリアです 。そのため、この地区では旧護岸の長期的な保全のあり方も検討されます 。

浦安市の中心となる「シンボルロード」との交差部では、街の景観を良くするための「辻の演出」が行われます 。ここには、旧護岸の歴史を物語るパネルやシンボルツリー、ベンチなどを設置した広場を計画し、出会いや憩いの場を創出します 。車両の進入は考慮せず、静かな住環境を維持する方針です 。

3.入船四丁目地区：歩行空間の確保と「辻の演出」

入船四丁目地区も戸建住宅が立ち並び、静かで快適な住環境を維持したいという意向が強いエリアです 。ここでは、市道と同じ高さの歩行空間を設け、旧護岸の面影を感じられるよう盛り土を行い、低木や中木を配置して緑の密度を高めた緑地帯を形成します 。

こちらも、旧護岸がこれまで果たしていた「雨水流入防止」「騒音緩和」「沿線住宅の目隠し」「通過交通の抑制」の効果を維持するため、盛り土や防音目隠しフェンスを設置する予定です 。市道の車道は十分な幅員がありますが、歩道が整備されていないため、通学路としても利用されることを考慮し、より安全で利便性の高い歩行空間の確保を目指します 。

シンボルロードとの交差部では、入船三丁目地区と同様に「辻広場」を設置し、シンボルツリーや旧護岸の歴史を伝えるパネル、ベンチなどを配置することで、出会いや憩いの場を創出します 。

まとめ

今回の計画は、浦安市の旧護岸の土地を、単なる未利用地としてではなく、街の緑をつなぐ大切な空間として活用し、住民の皆さんがより快適に、そして楽しく暮らせる街にしていくためのものです 。それぞれの地区の特性や住民の皆さんの声に耳を傾けながら、より良いまちづくりが進められていくことに期待しましょう！