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「浦安に砂浜」幻の人工海浜計画

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写真:「昭和63 年度水際線活用構想の基本的な考え方」浦安市 より

 この夏、浦安のお隣「葛西海浜公園で50年ぶりに海水浴」のニュースが話題となりました。「よし、浦安も!」と思われた方も多いのではないでしょうか?

 浦安にも、かつて人工海浜を建設する計画があったのです。この計画を知っている人は今では多くないかもしれません。当時の建設省が都市型の海岸防護施設として実現を目指していました。
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 浦安は昔、「沖の十万坪」などと呼ばれた遠浅の海が広がっており、生活は海と切っても切り離せないものでした。その頃の漁場だった遠浅の海。今は埋め立てられ、当時をしのぶのは「高洲」などの地名のみとなっています。それでも、三方を水辺に囲まれた浦安の最大の魅力は間違いなく「海」です。ですから市民の心情として、「海と直接に親しめる施設」特に「砂浜」を持ちたいという気持ちは自然です。

 一方で、浦安に人工海浜を作るには大きなハードルがあります。浦安周辺の潮流は、冬は南西、夏は東から西へと流れ、砂を水辺に入れただけでは流されてしまうのです。かつての計画では、浦安沖に人工バリアを展開し、静穏域を作って背後地に人工海浜などを作るといった巨額の費用がかかる事業でした。しかし、予算の問題などで計画は立ち消えとなってしまいました。

 この時期に、全国で進められた人工海浜のほとんどは、浸食で海岸線が後退してしまった海岸を対象としていました。日本初の人工海浜を持つ千葉市は浦安などの計画と近く、海浜の沖200mほどの海底にテトラポットを沈めた人工バリアや両手で包み込むように広げた防潮堤を築くなどして静穏域を作っていますが、今でも砂を補充しないと海岸線の後退を止めることができないため、毎年多額の費用がかかっています。

 ただ、浦安には通称「舞浜ビーチ」と呼ばれる場所があります。テーマパークの裏に鋭角に切り込まれた地形が、奇跡的に静穏域を作り出し、多少の砂が堆積し海浜を形成しています。市民活動などで清掃運動が続いていますが、是非とも大切にしたい自然の贈り物と言えます。

 海浜化には、もう一つの問題があります。葛西でも注目された水質です。葛西海浜公園では毎日水質を検査し、その日の海水浴ができるかを判断することになっています。確かに高度経済成長期に悪化した東京湾の水質は随分と改善されました。それでも現在も多くの河川から生活排水が流れ込んでいます。更には浦安沖を含め東京湾は埋め立ての際に海底の土砂を掘削した水深10mもある無数の土取場跡があり、そこにプランクトンの死骸が堆積して青潮の発生要因のひとつとも言われています。これらが水質の改善を妨げているのです。ただ、徐々に覆砂の作業が進められており、まずは海の再生作業が始まっています。

 かつて、海洋レジャー施設として計画された浦安の人工海浜ですが、今では社会情勢の変化で、なかなか実現は難しい状況です。それでも、きれいな海を取り戻す努力を続け、東京湾の魅力が更に高まれば、海に突き出た街「浦安」で、誰もが海辺に親しめる「砂浜のある街」がもう一度計画されることもあるかもしれません。

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